2000 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海陸棚縁辺部における低塩分水の黒潮中層への潜り込みに関する研究
Project/Area Number |
11640433
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
磯辺 篤彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
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Keywords | 低塩分水 / 黒潮フロント / 潜り込み / 内部波 |
Research Abstract |
2000年5月16〜23日(1回目調査)および同年10月5〜10日(2回目調査)に、東シナ海中央部の大陸棚縁辺部において、CTDによる水温・塩分および流向流速の鉛直分布測定を、また1回目調査では同時に係留系による流速と水温の時間変化の測定を行った。 1回目調査では、黒潮を横切る2測線(両者の間隔は約80km)上を2隻の調査船により同時に繰り返し観測を行った。下流の測線では観測期間の前半には陸棚端付近にあった水温フロントが徐々に陸棚上に張り出してくる傾向がみられた。陸棚上には顕著な低塩分水の分布が見られたが、その一部が陸棚上に張り出した黒潮の中層に潜り込む様子が見られた。この低塩分水はそれより下層に比べて低温の場合もあり、明らかに水平的な潜り込みであることが確認された。しかし一方同時に観測を行った黒潮の上流側の測線では、顕著な低塩分水は認められず、低塩分水の潜り込み現象が、必ずしも黒潮の流れる方向に広く広がった現象とも言えないことが示された。2回目調査では、比較的広範囲に測線を設定したが、中層への潜り込みを示唆する低塩分水の分布はいくつかの測線で見られた。表層から潜り込む形状を示す低塩分水の他に、それに比べてやや深い層、陸棚の底層からつながっているような分布を示すこともあった。 1回目調査で行った係留系による観測では、鉛直方向に詳細な流速分布が得られた。上述の黒潮フロントの陸棚上への張り出しに伴って、陸棚端付近の流れが強くなっていることが確認され、また、陸棚端付近では下部躍層の近くで黒潮の流速がほぼ0になっていることが認められた。低塩分水の潜り込みに対応した流れの分布は明らかでなかったが、躍層付近の密度構造の変化に伴って、鉛直方向に小さなスケールを持った岸沖方向の流れが生じていることが確認された。
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[Publications] Matsuno,T.,S.Ohsaki,S.Kanari,Y.Takaki and T.Kuno: "Mixing processes and horizontal intrusion around the shelf break in the East China Sea""Interaction between Estuaries, Coastal Seas and Open Oceans",ed.T.Yanagi, Terra Scientific Pub.. 177-195 (2000)
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[Publications] Han,I-S.,K.Kamio,T.Matsuno,A.Manda and A.Isobe: "High frequency current fluctuations and cross shelf flows around the pycnocline near the shelf break in the East China Sea"Journal of Oceanography. 57・2. 235-249 (2001)
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[Publications] 万田敦昌,磯辺篤彦,松野健 他10名: "東シナ海黒潮前線におけるADCP連続観測結果とそれに適用した潮流分離手法について"九州大学大学院総合理工学研究科報告. 21・4. 343-348 (2000)