2000 Fiscal Year Annual Research Report
花崗岩類に産する石英ファブリックに及ぼすマグマ溶液対流について
Project/Area Number |
11640445
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Research Institution | Institute of Geoscience, University of Tsukaba |
Principal Investigator |
滝沢 茂 筑波大学, 地球科学系, 助手 (80114099)
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Keywords | 石英のC軸ファブリック / 斜長石の形態定向ファブリック / シリカ・クラスター / 石英の転位密度 / 石英の極性成長 / 溶液流動 |
Research Abstract |
1)最終年度では当該地域の北側と南側の両地域から試料採集を遂行して,得られた試料の薄片作成・顕微鏡下で石英のC軸ファブリック解析ならびに斜長石類の形態定向配列解析を行った. 2)ペグマタイト,安山岩中の昌洞中に晶出した自形石英の表面及び内部を高分解能走査電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡で組織解析を行った結果,C軸方向に極性成長する石英は数100nmサイズの球状単位で結晶石英の成長をすることが明らかになった.このnmオーダーの球状は,アモルファス・シリカのクラスターと呼ばれるものである. 3)斜長石の形態定向配列を有するものは,ほぼ鉛直方向に長軸を配列するものと,無定向配列の2つに区分される. 4)石英のC軸ファブリックの極性は斜長石の定向配列を示す組織中に出現することが明になった. 5)波動消光等を伴わない石英粒子内に発達する自由転位線の密度は斜長石の形態定向配列の有無に左右されること無く,ほぼ同じ値を示す. 6)花崗岩マグマの冷却過程における初期火成岩組織形成に伴う石英粒子の格子ファブリックは多くはランダム配列が特徴として知られている.しかし本研究では固体流動や脆性変形を受けていない初期花崗岩組織中の石英粒子は,格子ファブリックに定向配列と斜長石の形態定向配列で特徴付けられることが明らかになった.このような花崗岩組織は花崗岩マグマのイルメナイト系列岩体に出現して,マグネタイト系列の花崗岩組織には見られない.この両系列ではイルメナイト系列はマグネタイト系列に比較して低温条件で形成されている.花崗岩岩体のマグマ規模におけるマグマの熱対流の他にイルメナイト系列マグマ中に含まれるシリカ・クラスターが高密度のマグマ溶液の下降流動が起きた.この高密度シリカ・クラスター溶液が石英のC軸方向を鉛直に配置し且つ結晶成長を促進させた. 7)上述の成果は国際学術雑誌に投稿する為,原稿を準備中である.
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