2000 Fiscal Year Annual Research Report
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11640453
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
永尾 隆志 山口大学, 機器分析センター, 助教授 (40136164)
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Keywords | 九州 / 後期新生代 / 高マグネシア安山岩 / 島弧火山岩 / プレート内玄武岩 / マグマ / 島弧型マントル / アセノスフェア |
Research Abstract |
南部九州の鮮新世大規模火山活動を引き起こしたマグマの成因とマントルダイナミクスについて,次のようなモデルを提案した. 後期中新世〜現在まで,南部九州の島弧型マントル(かつて沈み込んだ海洋底や堆積物,さらにウエッジマントルの破片などから構成されている)の下に,高温のfertileなアセノスフェアが存在した.アセノスフェアが上昇すると圧力が降下し部分融解がはじまり,プレート内アルカリ玄武岩〜プレート内ソレアイトマグマが生成される.プレート内アルカリ玄武岩マグマと島弧型マントルが反応すると高カリウム高マグネシア安山岩が生成される.同じようにプレート内ソレアイトマグマと島弧型マントルが反応すると低カリウム高マグネシア安山岩が生成される.つまり,この過程で,プレート内玄武岩マグマは,島弧火山岩が示すような化学的な特徴を獲得し,SiO_2のエンリッチチメントがおこる.このようにして,生成された高マグネシア安山岩マグマの分別結晶作用によって大量の安山岩が形成された. また,"島弧ソレアイド"類似の玄武岩〜安山岩は,島弧型マントルの一部を構成するかつてのウエッジマントルの破片が,上昇する高温のアセノスフェアか,マグマの熱によって融解されて生成されたマグマに由来すると考えられる.さらに,"アダカイド"様岩石は,島弧型マントルの一部を構成するかつて沈み込んだ海洋底("化石スラブ")が融解してできたマグマから導かれた. さらに,このモデルは,九州の後期新生代火山活動の特徴である,プレート内玄武岩と島弧玄武岩の共存,プレート内玄武岩と高マグネシア安山岩の共存,島弧玄武岩と高マグネシア安山岩の共存,低K安山岩と高K安山岩の共存,背弧側での島弧ソレアイトの活動などの特異な現象を説明するのに都合が良い.
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[Publications] 永尾隆志,角縁進,藤林紀枝,長谷義隆,長峰智: "熊本県天草下島玄武岩の微量元素,希土類元素,Sr,Nd同位体比の特徴"山口大学機器分析センター報告. 8. 38-43 (2000)
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[Publications] 白木敬一,宮本光隆,松尾弘昭,植木有子,東高照,永尾隆志: "長崎県西彼杵半島の高Mg安山岩と玄武岩"山口大学機器分析センター報告. 8. 24-37 (2000)
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[Publications] 角縁進,永尾隆志,長尾敬介: "阿武単成火山群のK-Ar年代とマグマ活動"岩石鉱物科学. 29(5). 191-198 (2000)
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[Publications] 永尾隆志,木戸道男,沢井長雄: "大分県杵築地域に分布するNbに富む安山岩"山口大学機器分析センター報告. 9. 26-31 (2001)