1999 Fiscal Year Annual Research Report
超苦鉄質岩を構成する鉱物組成からみた最上部マントル〜地殻漸移帯でのマグマの挙動
Project/Area Number |
11640454
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐野 栄 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (10226037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 純一 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30241730)
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Keywords | オフィオライト / 超苦鉄質岩 / マントル / 微量元素 / 地球化学 / ダナイト |
Research Abstract |
本研究初年次では,すでに採集しているニュージーランドのダンマウンテンオフィオライト中のRed Hills超苦鉄質岩体およびパキスタンのインド-ユーラシアプレート境界に位置するMalakand超苦鉄質岩体の岩石試料について,岩石鉱物学的検討およびICP-MSにより予察的に構成鉱物の微量元素組成について検討を行った。その結果,ダンマウンテンオフィオライトの溶け残りマントル中の単斜輝石はLa〜Smの軽希土類元素に著しく涸渇した特徴を示すのに対し,メルト-固相反応で生じたダナイト中の単斜輝石は,La〜Smには涸渇しないことが明らかとなった。このことは反応で生成されたメルト組成が軽希土類元素に,より富んだ性格を有することを示唆する。また,ダナイト中に含まれる単斜輝石の希土類元素の特徴は試料ごとに異なっており,様々な種類のメルトがダナイトの形成に関与したことを伺わせる。以上のように,最上部マントル〜地殻漸移帯での,メルト-固相反応に関与したマグマ組成は非常に多様な性格を有していることが推測されるが,詳細はまだ明らかになっていない。いっぽう,Malakand超苦鉄質岩体中では典型的なクロマイト鉱床がダナイト中に胚胎する。このクロマイトには,角閃石や単斜輝石が豊富に包有されている。本研究による岩石鉱物的検討結果により,このクロマイトが,含水マグマと溶け残りマントルとの反応で形成された可能性が高いことが明らかになってきている。このように,異なった構造場に由来する二つのオフィオライト共に,その最上部マントルではメルトの通過に伴う壁岩の反応プロセスが認められる。このことは,構造場を問わず,マントル-地殻漸移帯におけるメルト-固相反応プロセスが普遍的な現象であることを示唆する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakae Sano: "Geochemical characteristics of Carboniferous greenstones in the Inner Zone of Southwest Japan"The Island Arc. 9. 81-96 (2000)
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[Publications] 佐野 栄: "瀬戸内海表層堆積物の地球化学的特徴 その1.安芸灘表層堆積物"愛媛大学教育学部紀要(自然科学). 20. 1-9 (2000)
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[Publications] 佐野 栄: "沈み込み過程での堆積物および緑色岩中の微量元素の挙動"地質学論集. 52. 195-204 (1999)
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[Publications] Jun-Ichi Kimura: "Geochemical mapping of quaternary lavas of the NE Honshu arc:Roles of old lithosphere and depleted mantle in young lavas"IAVCEI arc volcanism subcomission workshop abstract. 121-124 (2000)