2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640455
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小松 正幸 愛媛大学, 理学部, 教授 (00018665)
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Keywords | 震源断層 / シュードタキライト / 脆性剪断 / 塑性剪断 / デタツチメント / 島弧地殻 |
Research Abstract |
八幡浜大島および下伊那和田地域の領家変成帯,下部延性剪断帯において,延性剪断作用(マイロナイト化作用)と脆性剪断作用の関係について調査研究を行った.大島変成岩層は領家変成帯最下部に相当する.ここでは,4ステージのマイロナイト化とシュードタキライトの形成を伴う地震性の脆性剪断帯がある.シュードタキライトは延性変形を受けている.この断層帯の詳細な観察の結果,地震性の脆性断層と延性変形が繰り返し起こっていることが判明した.この運動は大島変成岩層が三波川帯に衝上する上盤西ずれの運動に関連し,上盤西ずれのマイロナイト化作用IIの運動と一連と見なすべきとの結論を得た.このことは内陸地震の発生場所が,地殼の衝上に伴う断層に沿っていることを予想させるものとして重要な意味をもつ. 一方,下伊那におけるマイロナイト帯に,マイロナイトの片理に平行な脆性剪断面に,今回新たにシュードタキライトが発見された.このシュードタキライトは気泡を有し,母岩の条件からみても,比較的浅いところで形成されたものである.この点は,八幡浜大島の場合と異なる点であるが,マイロナイト化作用の応力場を引き継いでいる点は同じである.マイロナイト層の片理に平行な脆性剪断面は無数に存在し,これによってマイロナイトは覆瓦構造を取る場合も稀ではない.このことから,地殻深部層の衝上運動が,延性的剪断運動から脆性的剪断運動に連続し,この過程で地震性の剪断破壊が起こることを示すものであり,このシュードタキライトの発見は八幡浜大島の結論を支持補強するものである.
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