2001 Fiscal Year Annual Research Report
浅海砂州におけるストーム堆積作用とその地層への保存能
Project/Area Number |
11640457
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
前島 渉 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20173700)
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Keywords | ストーム / 堆積相 / 海浜 / 沿岸洲 / ストーム浸食 / 海浜回復 / 唐鐘塁層 |
Research Abstract |
島根県西部の中新統唐鐘累層の海浜堆積物には(1)ストーム最盛期の海浜浸食,(2)ストームの減衰過程における海浜回復,(3)静穏期の海浜構築の各ステージの記録がよく保存されている. (1)ストーム時の海浜浸食は,浸食基底面をもち沖方向へ緩く傾く礫岩薄層によって示される.ストーム波浪は海浜を浸食すると同時に,ファンデルタ面状の粗粒物質を再動させ,それらが外浜にまで広がって一種の残留堆積物として浸食面を覆ったと考えられる.礫岩層には沖・陸両方向のインブリケーションがみられ,ストーム波浪による強い振動流作用を示す.このような礫岩薄層の覆いのために,その後のステージでの波浪再動作用が阻害され,ストームによる海浜浸食の地層記録への保存能が高まったといえる. (2)ストームの減衰過程における海浜回復は,陸方向へのフォアセットをもつプラナー型斜層理砂岩によって示される.プラナー型斜層理セットは,ストーム最盛期の海浜浸食を示す礫岩薄層を直接覆い,緩く傾斜する礫岩層を陸方向へ這い登るように形成されている.このことは,海浜浸食後の早い時期に,すなわちストームの減衰過程で,ストーム最盛期に沖へもたらされた砂サイズの物質がストームの余波としての強いうねりの作用のもとで沿岸洲をつくりながら海浜へ戻されていったことを意味する. (3)静穏期の海浜構築は沿岸2方向性の古流向を示すトラフ型斜層理砂岩と低角度楔型斜層理砂岩が記録している.前者は沿岸トラフの,後者は主として前浜の堆積物である.沿岸洲の成長と陸方向への移動により海浜では沿岸トラフが次第に顕著な微地形となっていったと考えられる.このような沿岸トラフでは静穏期においても砂の活発な移動集積が起こり,トラフ型斜層理砂岩が堆積したとみなされる.また,静穏期には特に前浜域での砂の再動堆積が著しくなり,波の遡上作用を反映した低角度楔型斜層理砂岩が形成された.
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[Publications] 中条武司: "中新統唐鐘累層"日本地質学会第107年学術大会見学旅行案内書. 91-101 (2000)
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[Publications] MAEJIMA, WATARU: "Storm and recovery stage sedimentation records in the shoreline deposits of the Miocene Togane Formation, southwestern Japan"Jour.Geosci., Osaka City University. 44. 163-171 (2001)