1999 Fiscal Year Annual Research Report
四万十帯における海嶺沈み込みと白亜紀末〜古第三紀テクトニクスに関する研究
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11640459
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
川端 清司 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (80195130)
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Keywords | 放散虫 / 白亜紀 / 海嶺沈み込み / 四万十帯 / 根室層群 |
Research Abstract |
3年計画の初年度として,研究課題である「四万十帯における海嶺沈み込みと白亜紀末〜古代三紀テクトニクス」を明らかにしていくために,これまでに申請者が行ってきた研究のまとめと,今回申請した研究計画に沿って研究を進めるために以下のことを,本年度は行った. ・これまでに奄美大島の名瀬層中に含まれる玄武岩質緑色岩の産状と,周囲の陸源成の泥質岩との関係を,泥質岩の化学組成の変化から考察を加え,玄武岩の活動が陸源成の泥質岩の堆積場で生じたものであるとの結論を導いた. ・「海嶺沈み込み」の年代を正確に特定するための基礎的資料とするために,後期白亜系から古第三系までの連続層序を持つ北海道の根室層群において放散虫化石群集の時代的変化を検討する目的で,北海道浦幌町に分布する根室層群のモカワルップセクションにおいて分析用試料の採集を行った.同層群の泥岩・シルト質泥岩はほぼ同時代の他の日本各地の泥質岩と比べると軟質で,通常用いられるフッ酸法では放散虫殻の抽出が困難であった.そのため,有孔虫化石の抽出などで使われることのある,「ボロン法」により抽出を試みたところ,非常に有効な放散虫化石抽出法であることが判明した.現在,同法と従来からのフッ酸法を併用しながら,放散虫化石の分析を進めている. ・これまでに「海嶺沈み込み」を示唆すると考えられる「現地性緑色岩」が分布する地層のうち,最も古い年代を示す奄美大島の名瀬層よりも,より古い時代の検討を行うために沖縄本島名護市周辺の名護層の予察的な検討を行った.併せて,現生放散虫の研究手法を収得することを兼ねて,琉球大学瀬底臨海実験所において,現生放散虫の採集・観察を行った. ・本年度に計画していた紀伊半島東部・伊勢志摩地域の四万十帯についての野外調査については日程の都合上行えなかった.2年次の重要課題としたい.
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