2000 Fiscal Year Annual Research Report
精密時間軸に基づいた活火山のマグマプロセスの解明とマグマ供給系の復元
Project/Area Number |
11640471
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 光弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50217684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇井 忠英 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10007164)
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Keywords | 活火山 / マグマ系 / 岩石学 / 噴火 / 有珠火山 / 北海道駒ケ岳火山 / 樽前火山 / 三宅島火山 |
Research Abstract |
研究対象の活火山として,今年度は北海道駒ケ岳および樽前火山の考察を進め、今年度に噴火が開始された有珠火山・三宅島火山についても、急遽あらたに検討を行った。その結果,次のようなことが明らかになった。1)有珠火山では西暦1663年から噴火年代とともに、次第に全岩SiO_2%が減少しており、2000年噴出物は歴史時代でもっともSiO_2に乏しいデイサイトであることが明らかになった。2)三宅島火山では我々の研究によって、1983年の噴火まで浅所の安山岩質マグマと深所の玄武岩質マグマという、2つのマグマ貯蔵系が活動していたことが明らかになっていたが、2000年噴火ではこれらのうち浅所の安山岩質マグマが海底から、そして玄武岩質マグマが山頂からというように、それぞれ別個に噴火したことが明らかになった。その結果、500年あまり存続したマグマ系は破壊・更新され、現在まで続く活動は新しい玄武岩質マグマの活動によることが示唆された。3)北海道駒ケ岳火山では西暦1640年噴火から1929年までの4回のマグマ噴火について詳細に検討し,いずれもマグマ混合の証拠が認められるものの、噴出物の不均質の程度や化学組成の多様性が時間とともに変化しており、これらは1640年に形成された層状マグマ溜りの時間変化で説明できる可能性が示された。4)樽前火山については前年度の検討に加え、19-20世紀の噴出物も検討し、マグマ混合端成分組成および混合比の時間変化を見積もった。その結果、本火山では1667年と1739年の大噴火によって低温側端成分マグマはほぼ消費され、19世紀以降は高温端成分マグマを主体として小規模に噴火していたことが判明した。このことから、樽前火山では17-18世紀クラスの大噴火が起こる可能性は低く、逆にマグマ噴火の休止期に入った可能性も指摘できる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakagawa, M.: "Eruptive materials of 2000 eruptions of Usu volcano and their temporal variations."EOS. 81・48. WP2- (2000)
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[Publications] Nakagawa, M.: "Quaternary arc volcanism on the back-arc side of NE Japan arc induced by jumping of plate boundary and following subduction of young back-arc basin."EOS. 81・supp.. WP253- (2000)
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[Publications] 西村裕一: "北海道霧多布湿原の泥炭層中から発見された1843年の津波堆積物."第四紀研究. 39・5. 451-460 (2000)
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[Publications] 宮地直道: "羅臼岳火山における最近2200年間の噴火史."火山. 45・2. 75-85 (2000)
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[Publications] 広瀬亘: "北海道中央部〜西部の新第三紀火成活動の変遷:K-Ar年代、火山活動様式および全岩化学組成から見た東北日本弧北端の島弧火成活動の変遷."地質学雑誌. 106・2. 120-135 (2000)