2000 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧その場観察による含水マグマの状態量変化の研究
Project/Area Number |
11640480
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 茂 岡山大学, 固体地球研究センター, 助教授 (30260665)
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Keywords | マグマ / 珪酸塩メルト / 水 / 高温高圧実験 / 反応エネルギー |
Research Abstract |
この研究の目的は、珪酸塩メルトと水の相平衡関係を高温高圧実験により決定し、結果を熱力学的に解析して珪酸塩メルトヘ水が溶解する反応のエネルギーを明らかにすることにある。12年度では11年度の予備実験をふまえて、外熱式ダイアモンドアンビルセルによる珪酸塩メルトと水の高温高圧その場赤外分光実験のシステム一式を、限定的な温度範囲ではあるが、稼働状態にすることができた。セルは一対のダイアモンドアンビルの間にガスケットを介して珪酸塩ガラスと水を封入し、アンビルまわりのメタルヒーターで加熱するものである。温度はアンビルに接触させた熱電対によってモニターし、プログラム可能なPIDコントローラーによってヒーター電圧・電流を制御して、希望の昇温・降温プロファイルを実行することができる。圧力は封入されている水が加熱によって膨張しようとするサーマルストレスで発生させる。このシステムを使って一連の予備実験をおこなったところ、現状の仕様のセルでは600℃をこえる温度の実験はできないことがわかった。これはアンビル保持部に高温で焼き付きが発生し、実験後にセルを開放できなくなるためである。この障害により十分なデータをとるにはいたっていないが、アンビル保持部のデザイン、材質の改善をおこないさらに実験をおこなう予定である。このような状況なので12年度では代替手段として、内熱式ガス圧装置でべつに合成した含水珪酸塩ガラスの室温赤外分光実験をおこない、実験結果に熱力学パラメーターを最適化させるモデルで珪酸塩メルトヘ水が溶解する反応のエネルギーを定量化することを試みた。その結果、この反応エネルギーは珪酸塩メルトめ比熱に対して非常に小さく、マグマが水を離溶(発泡)しながら上昇するときの温度-圧力-体積履歴への寄与は無視できることが明らかになった。この成果はマグマ輸送現象のダイナミクスヘ新たな束縛条件を与えるものである。
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Research Products
(1 results)