1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640483
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
磯部 博志 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80311869)
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Keywords | 希土類元素 / 炭酸塩鉱物 / バストネス石 / パリサイト / 相関係 / 熱水合成 |
Research Abstract |
希土類の元素のふっ素炭酸塩鉱物であるバストネス石(Ln(CO_3)F)やパリサイト(CaLn_2(CO_3)_3F_2)、シンキス石(CaLn(CO_3)_2F)は、熱水変質によって生成した鉱物脈として、方解石などと共存している。これらは類似した結晶構造を持ち、その組成は、バストネス石-方解石系で表現される。しかし、これらの相関係は、実験的研究による確認は未だなされていない。本研究では、バストネス石-方解石系の出発物質を用いた熱水合成実験による相関係の決定を試みた。 まず、パリサイト組成の出発物質について、La_2(CO_3)_3・6H_2O、CaF_2試薬から出発物質を調製し、合成実験を行なった。実験は、テストチューブ型熱水合成装置を用い、銀チューブに出発物質を蒸留水と共に封入し、400゜Cから650゜C、圧力30MPaから100MPaで行った。実験時間は70から300時間である。実験生成物は粉末X線回折による鉱物相の同定及び顕微鏡観察を行った。 100MPaでは、400゜Cから600゜Cの範囲でバストネス石+方解石が生成した。方解石は約20μm以上に達する粒子も存在した。出発物質に見られるCaF2の回折線が存在しないこと、方解石が成長していることから、反応は十分進んでいるものと思われる。650゜Cでは蛍石が存在し、Laoxide/carbonateが生成している。30MPaでは、600゜Cでバストネス石+方解石は不安定であり、650゜C、100MPaとは異なるLa化合物が存在している。いずれの条件でもパリサイトは生成しなかった。これらの結果をもとに、パリサイトの安定条件を含め、引き続き希土類元素炭酸塩鉱物の検討を継続する。
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