2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640484
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
相川 信之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20047327)
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Keywords | 石英 / 鉱物粒の三次元形態 / 再結晶石英の微構造 / 再結晶石英の粒界構造 / 流体包有物の三次元形態 / 流体包有物の三次元分布 / カンラン石 / 転位構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、異種鉱物の集合体である岩石中の単一鉱物粒の形態を三次元画像として捕らえ、単一鉱物粒の形態的な特徴や同種あるいは異種鉱物粒間の界面やクラック表面の形態的特徴や差違を明らかにしようとするものである。また、上記研究と同じ原理を応用する事によって、鉱物粒内の転位の分布や流体包有物の配列(分布)を三次元像として観察・可視化することも研究目的の一つとしている。 本年度は以下の事柄を明らかにした。変影を受けた岩石中の石英が熱変成で再結晶する時、変形石英中に存在した流体包有物が粒界に修動し、粒界での溶解-沈殿作用を助け、粒界移動(再結晶粒の核形成から成長までのすべての過程)を促進したと考えられる(投稿準備中)。さらに、この流体は温度降下に伴う粒界移動の停止後も、界面の微細構造の形成に関わり、前年度明らかにしたような微細な粒界構造を形成や、再結晶粒の形態の多様性を生んだと考えられる。また、粒界移動の停止時期(熱履歴の違いに依存)によって、石英中或いは石英間に幾つかの特徴的な微構造を作ることを示した(岩石鉱物科学誌31巻及び投稿準備中)。 カンラン石結晶中の転移組織についての研究として、自然界で酸化を受けたスコリア中の鉄に富むカンラン石巨斑晶を見出し、詳細な観察を行った。その結果、直線的な転位、転位ループ、つる巻きバネ状転位や交差すべりによって形成された特徴的な転位が見られた。転位線の方向はいずれも結晶学的に簡単な指数で表される方向を示し、転位密度もかなり低いことが明らかになった(投稿準備中)。得られた結果は、前年度行ったピクライト質玄武岩中のカンラン石やマントル起源の岩石中のカンラン石に見られる転位組織とは異なることから、その形成過程と形成後の履歴の違い知る手掛りになると思われる(投稿準備中)。
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