2000 Fiscal Year Annual Research Report
トルコ共和国の白亜紀-第三紀(K-T)境界層の地球化学的研究
Project/Area Number |
11640486
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荒川 洋二 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (00192469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松丸 国照 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60008711)
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Keywords | トルコ共和国 / 白亜紀-第三紀境界 / 元素・同位体プロファイル |
Research Abstract |
平成12年度は、昨年度に続きトルコ共和国の黒海沿岸地域のMedetli地域と中部アンカラ南方のHaymana地域の採取試料(マール、石灰岩、泥岩)の顕微鏡観察、化石種の同定、および元素組成のプロファイルの作成を実施した。Haymana地域では、白亜紀-第三紀境界層の約100mのセクションで各種元素濃度を分析し層序プロファイルを作製した。その結果、下部から上部(境界付近)に向かって、Fe,Mg,Cu,Ni,Znなどの元素濃度の増加が観察されたが、他の地域で報告されているレベルの濃度より明らかに低い値であった。この地域では境界部に金属元素が極めて濃集した薄層は存在しないが、上記元素の増加は他地域の境界層と類似の結果となった。また、白亜紀-第三紀境界層を含むMedetli地域の元素プロファイルでは、境界層に向かい、Fe,Co,Ni,Asなどの金属元素の増加が明確になった。金属元素の濃集は、従来の境界層での特徴と一致している。また、As,Feなどの元素が特に濃集しているgoethite-rich layerが複数層存在することは、世界の他の境界層とは明確に異なることであり、その解釈には問題が残されている。今回新たにIrを含む白金族元素の分析を東京都立大学の海老原教授に依頼し分析を行っていただいた。その結果は、従来予想していたgoethite-rich layerに必ずしも高いIrの濃集が見られなく、境界層付近のIr濃度も高くて100-200pptであった。他の金属元素の濃集とこのIrの濃度の不一致に関しては今後の課題の一つである。今年度はトルコ共和国からの研究協力者との意見交換等も行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Arakawa,Y. et al.: "Crustal development of the Hida belt, Japan : Evidence from Nd-Sr isotopic and chemical characteristics of igneous and metamorphic rocks"Tectonophysics. 323. 183-204 (2000)
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[Publications] Arakawa,Y. et a..: "Paleozoic to Mesozoic crustal development of the Hida belt (Japan) and its correlation in eastern Asia : Chronological and geochemical constraints"Eos. 81. WP191 (2000)
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[Publications] Matsumaru,K.and Inan N.: "Some benthic Foraminifera of K-T transition beds in conform outcrops in Turkey"J.Saitama Univ., Fac.Education. 49. 39-49 (2000)
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[Publications] Matsumaru,K. et al.: "Teratological individuals in orbitoidal Foraminifera"J.Saitama Univ., Fac.Education. 49. 51-58 (2000)