1999 Fiscal Year Annual Research Report
HCP分子の異性化反応ダイナミクスの研究-重水素置換が反応ダイナミクスに与える効果-
Project/Area Number |
11640493
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 春樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80261551)
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Keywords | HCP分子 / 異性化反応 / 高振動励起状態 / SEP分光 |
Research Abstract |
本研究では、我々がこれまで行ってきたHCP分子の異性化反応を分光学的に捕らえようとする研究の発展であり、重水素置換が異性化反応ダイナミクスにどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としている。残念ながらDCP分子は合成が困難なため現在合成中であり、DCP分子の測定にはいたっていないが、理論研究によるとDCP分子では、予想された通りダイナミクスが大きく変化する結果となっている。早急に我々も実験によりその変化を明らかにする予定である。これまでのHCP分子に関する研究では電子遷移の選択則により変角振動量子数が偶数の準位しか観測されていなかったが、本研究において新たに変角振動量子数が奇数の準位が初めて観測された。この結果は、HCP分子の高振動励起状態における振動と回転の相互作用を明らかにする上で非常に重要な情報である。さらに、分散蛍光法や誘導放出分光(SEP)法において用いる中間状態を調べることにより、CH伸縮振動と変角振動の両方が励起した準位を通常の方法で観測できることがわかった。従来は我々が初めて測定に成功した赤外-紫外二重共鳴法を用いて電子励起状態に励起するIR-UV-SEP三重共鳴分光法を用いることが必要であったが、より簡便に測定することが可能となったので研究の進展を促すことが期待される。また、我々の実験結果をもとにした海外の理論研究グループとの研究交流も盛んに行われ、いくつかHCP分子の異性化反応に関する共著論文を発表した。
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[Publications] H.Ishikawa,C.Nagao,N.Mikami: "Observation of the Highly Excited Vibrational Levels of HCP : Application of IR-UV-SEP Triple Resonance Spectroscopy"Chemistry Letters. 941-942 (1999)
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[Publications] H.Ishikawa,R.W.Field,S.C.Farantos,M.Joyeux,J.Koput,C.Beck,R.Schinke: "HCP【tautomer】CPH Isomerization : Caught in the Act"Annual Review of Physical Chemistry. 50. 443-484 (1999)
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[Publications] M.Joyeux,D.Sugny,V.Tyng,M.E.Kellman,H.Ishikawa,R.W.Field,C.Beck,R.Schinke: "Semiclassical study of the isomerization of HCP"Journal of Physical Chemistry. 112・9. 4162-4172 (2000)