1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい2次元パルスEPR法の開発とヘムタンパク質への応用
Project/Area Number |
11640495
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大庭 裕範 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10176985)
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Keywords | 電子常時性共鳴 / 電子スピン共鳴 / 章動スペクトル / ヘム蛋白質 / パルスEPR |
Research Abstract |
1. マイクロ波共振器の試作:章動周波数はマイクロ波磁場の値(1mT程度)での共鳴周波数である。そのスペクトルを観測するには、測定試料の全体に渡るマイクロ波磁場均一度が高い共振器が必要である。Xバンドにおいて、空洞およぴLoopGap共振器を比較し、前者は均一度に優れ、後者はマイクロ波磁場の大きさに優れていた。試料の大きさと緩和時間に応じて使い分けるの必要がある。LoopGapについてはHe温度での測定を試み、振動などを避けるための専用の支持器を試作した。 2. マイクロ波磁場の不均一性を補償するパルス列ついて検討した。パルスの位相を反転する場合、直接位相反転する方法と、逆位相のパルスを独立に作る方法が可能であった。しかし、位相が反転するさいのマイクロ波の不安定性についてはスイッチング時間が問題であり、大きな差はなさそうであった。そのパルス列の制御ソフトウエアの修正などについて、検討した。 3. 不均一な線幅を持つEPR信号の章動信号のスペクトルについて、まず、スペクトルシミュレーションによって基本的な解析を行った。Gated Integratorによる検出と、エコー信号を時間軸に沿って検出しFourier変換する場合との比較を行った。二つの方法で得られる章動スペクトルとEPRスペクトル線形との関係を調ベ、EPRスペクトルの非対称性がスペクトルの章動シフトを与えることがわかった。さらに、現実的なスピンハミルトニアンに基づいたシミュレーションのソフトを検討した。
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[Publications] N.Mizuochi et al.: "The Structure and Electronic State of Photoexcited Fullerene Linked to a Nitroxide Radical Studied by an Analysis of a 2D Electron Paramagnetic Resonance Nutation Spectrum,"J. Chem. Phys.. 111. 3479-3484 (1999)
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[Publications] N.Mizuochi et al.: "First Observation of the Photoexcited Quintet State in Fullerene Linked with Two Nitroxide Radicals"Phys. Chem. A.. 103. 7749-7752 (1999)