2000 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族アミン類の電子的励起状態におけるアミノ基の構造変化と緩和過程
Project/Area Number |
11640496
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飛田 成史 群馬大学, 工学部, 教授 (30164007)
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Keywords | 芳香族アミン類 / 内部変換 / けい光 / 無輻射遷移 / 溶媒効果 / 置換基効果 |
Research Abstract |
一連の4-置換1-アミノナフタレン,4-置換N,N-ジメチル-1-アミノナフタレンを用いて励起状態緩和過程を詳細に検討し,N,N-ジメチル-1-アミノナフタレン類の無輻射遷移機構について検討した。その結果,速い内部変換は,ジメチルアミノ基を有する化合物においてのみ見られ,しかもS_1,S_2準位が近接すると加速されることが判明した。N,N-ジメチル-1-アミノナフタレン類のジメチルアミノ基はペリ位の水素原子との反発のため,基底状態ではナフタレン環に対してねじれた構造を有する。しかし,励起一重項状態ではより平面的な構造が安定になるため,アミノ基の構造変化が起こる。S_1,S_2準位が近接したN,N-ジメチル-1-アミノナフタレン類では,擬ヤーン-テラー効果によってS_1準位のポテンシャルが広がり,しかもS_0,S_1状態間でアミノ基の安定構造が異なるため,フランクーコンドン因子が増加し,異常に速い内部変換が誘起されるものと考えられる。 芳香環オルト位にメチル基を有するアニリン及びN,N-ジメチルアニリン誘導体を用いて,基底状態においてねじれたアミノ基を有する化合物の励起状態緩和過程について時間分解光音響測定および時間分解けい光測定によって検討した。その結果,N,N-ジメチルキシリジンのようなアミノ基が大きくねじれた化合物では,内部変換および項間交差の速度が大きく増加することが判明した。このような傾向は,上記アミノナフタレン類の場合と同様であり,芳香族アミン類に共通した光物理的性質として興味が持たれる。アミノナフタレン類のようにS_1,S_2準位間の近接効果が同時に関与しているかどうかについては,今後の研究課題である。
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[Publications] K.Suzuki,A.Demeter,W.Kuhnle,E.Tauer,K.A.Zachariasse,S.Tobita,and H.Shizuka: "Internal Conversion in 4-Substituted 1-Naphthylamines.Influence of the Electron Donor/Acceptor Substituent Character"Phys.Chem.Chem.Phys.. 2. 981-991 (2000)
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[Publications] S.Tajima,S.Tobita,and H.Shizuka: "Acid-Base Equilibrium and Electron-Ejection Processes in the Excited States of N,N-Dimethyl-1-aminonaphthalene in Aqueous Solution"J.Phys.Chem.A. 104. 11270-11277 (2000)
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[Publications] S.Tobita,R.Kamiyama,K.Takehira,T.Yoshihara,S.Yotoriyama,and H.Shizuka: "Radiationless Processes of N, N-Dimethylaniline Derivatives in Solution.Time-resolved Optoacoustic Studies"Anal.Sci. (in press). (2001)
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[Publications] S.Tobita,K.Ida,and S.Shiobara: "Water-induced Fluorescence Quenching of Aniline and Its Derivatives in Aqueous Solution"Res.Chem.Intermed.. (in press). (2001)
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[Publications] 飛田成史: "水溶液中における芳香族アミン類の光イオン化反応"放射線化学. 69. 51-54 (2000)