2000 Fiscal Year Annual Research Report
擬ランダムパルス放電を用いた準安定励起原子と分子との反応ダイナミックスの計測
Project/Area Number |
11640499
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
徳江 郁雄 新潟大学, 理学部, 教授 (90101063)
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Keywords | ペニングイオン化 / 発光断面積 / 振動回転分布 / 反応ダイナミックス / 準安定励起原子 |
Research Abstract |
本研究計画は,準安定励起ヘリウム原子(He^*)を用い,分子との衝突によって生成する微弱な発光を観測するための新しい測定技術を開発することを目的とする。平成12年度の実施計画は,He^*原子ビームと簡単な分子との衝突により生成するイオンの各種反応断面製を測定するとともに,量子化学計算プログラムにより,入射チャネルと出口チャネルの相互作用ポテンシャルを計算し,反応ダイナミックスに関する知見を得ることを目標とした。 1.He^*原子と塩化水素および臭化水素とのペニングイオン化過程で生成するHCl^+(A)やHBr^+(A)からのA-X発光の観測から,発光断面積,A状態の振動分布およびv'=0準位の回転分布の衝突エネルギー依存性を測定した。次に,He^*原子とアンモニアとの衝突で生成するNH(A-X,c-a)発光を観測し,発光断面積とNH(A,c)状態の振動回転分布の衝突エネルギー依存性の測定を行った。現在,精密測定したスペクトルデータについて解析を行っている。 2.量子化学計算プログラムGaussian98を用い,MP2/6・31++G(3df,3p)により,HCl+Li(He^*)系のモデルポテンシャルを計算し,2Dマップを作成した。入射チャネルのこれらのポテンシャルには,20meV程度の非常に浅い引力部分しかないことがわかった。一方,CIS/6-31++G(d,p)により,HCl^+(A)+Heのポテンシャルを予備的に計算したところ,He-H-Clの直線配置に大きな引力部分があることが分かった。現在,より信頼の置ける計算方法を用いて,ポテンシャルを求めているところである。
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