1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640515
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
土屋 莊次 日本女子大学, 理学部, 教授 (40012322)
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Keywords | 振電状態 / 光解離反応 / 反応ダイナミックス |
Research Abstract |
光パラメトリック発振器からのコヒーレント赤外光によって分子の振動回転準位を選択励起し、さらに、紫外レーザー光によっていろいろな回転振電準位へ励起する赤外-紫外2重共鳴分光システムを完成し、この方法をアセチレン分子の電子励起状態のungerade振動状態の回転振電準位構造の測定を行った。 アセチレンのX^^〜状態v_3″振動状態のいろいろな回転準位を選択し、UVレーザー光によってA^^〜状態nv_3′+v_4′/v_6′(n=0-3)振動状態への励起スペクトルを測定した。その結果、CH面外変角振動モードv_4′は対称性の点で禁制であるにもかかわらずnv_3′+v_4′状態への遷移が観測された。これは、nv_3′+v_4′状態が許容なnv_3′+v_6′状態とコリオリ結合をし、そのために遷移が可能となったと解釈できる。コリオリ相互作用を含む振動回転ハミルトニアンを解いた結果、観測した準位エネルギーをよく説明することができた。面内振動のv_3′とv_6′は非調和結合をするが、面外振動のv_4′は独立している。その結果、nv_3′+v_4′よりも、nv_3′+v_6′の準位エネルギーは低くなり、そのエネルギー差の故にコリオリ結合は見掛け上弱くなることが判明した。 振動状態3v_3′+v_4′/v_6′は、アセチレン分子の解離限界に近いが、3v_3′+v_6′の各回転準位は分裂する。一方、3v_3′+v_4′各準位では分裂は見られない。蛍光減衰の測定よりこの分裂は3重項状態との結合と結論された。そのエネルギー領域は、gerade振動状態でのS-T結合の起こるレベルとほぼ一致している。また、3v_3′+v_4′振動状態でS-T結合が見られなかったことは、この結合が面内運動に関連して起こると結論できる。
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