2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640520
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 信一郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10262601)
|
Keywords | 巨大電子雲 / ZEKE / パルス電場イオン化 / ダイナミクス / 時間分解 |
Research Abstract |
近年,主量子数の非常に大きい(n【greater than or equal】100)高リュードベリ状態(以下、超高リュードベリ状態)のダイナミクスが注目されている。ゼロ運動エネルギーパルス電場イオン化(ZEKE-PFI)光電子分光法では、パルスレーザー励起で生成した超高リュードベリ状態を数マイクロ秒後に、パルス電場によりイオン化検出する。これは超高リュードベリ状態が、かなり安定であることに基づいている。しかし、この超高リュードベリ状態の長寿命は低リュードベリ状態の寿命をもとにn^3則で予測される値よりはるかに長く、その長寿命化の機構に興味がもたれている。現在、提案されているモデルは大きくわけて二つあり、(1)シュタルク効果または分子間衝突による角運動量状態(l,m_l)のmixingモデル、(2)イオンコア内部自由度(振動、回転)とリュードベリ電子とのエネルギー交換モデルがある。エネルギー交換モデルでのみ期待される大きな特長として、リュードベリ状態の時間減衰曲線中に立ち上がり成分が存在することが挙げられる。本研究ではこの立ち上がり成分を直接観測する新しい実験手法を提唱した。 即ち地、我われは,イオンコアと超高リュードベリ電子のエネルギー交換の様子を観測するために「Sweep-off-Probeパルス電場イオン化法」を考案した。この方法では,先ず最初の電場(F_1)により光励起で生成した超高リュードベリ電子を除去する。続いて2番目の電場(F_2<F_1)により,検出領域へエネルギー交換により生成してくるリュードベリ電子を検出する F_1を印加してからF_2を印加するまでの時間を走査し、ZEKE電子シグナル強度を時間分解測定した。F_2の強さを固定しF_1の強さを変化させて測定したところ、F_1>F_2の場合にもシグナルが検出できることを初めて見いだした。これはF_1で除去された高リュードベリ状態が再び生成していることを示す。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Shin-ichiro SATO: "Cation vibational spectra of pyrimidine and its van der Waals complexes with Ar and N_2 by ZEKE photoelectron spectroscopy"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 97. 121-129 (1998)
-
[Publications] Daisaku TANAKA: "ZEKE electron spectroscopy of azulene and azulene-argon"Chemical Physics. 239. 437-445 (1998)
-
[Publications] Shin-ichiro SATO: "ZEKE electron spectroscopy of alkylbenzene-argon van der Waals complexes"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 112. 247-255 (2000)