1999 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン性ジテルロキサンの反応性:ポリテルロキサンおよび分子集合体への展開
Project/Area Number |
11640523
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 健二 筑波大学, 化学系, 講師 (40225503)
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Keywords | テルル原子 / テルリド / テルロキシド / ジテルロキサン / オリゴテルロキサン / 超原子価 / オリゴマー / カチオン |
Research Abstract |
カチオン性オリゴテルロキサン3は、未知の化合物群であり、ポリマー主鎖がTe-O結合の繰返し単位から成り、内部Te原子は非共有電子対を含め三方両錐型の超原子価結合構造を取り得ることが期待される。本研究では、カチオン性ジテルロキサン1のテルルカチオンへのテルロキシド2の酸素原子の付加によりカチオン性オリゴテルロキサン3が生成することを見出した。本反応では、1に対する2の化学量論に応じて、高選択的に、かつ、定量的に3量体3a,4量体3b,5量体3cのみをそれぞれ生成した。また、3aに関しては、単結晶X線結晶構造解析に成功し、主鎖がTe-O-Te-O-Teから成り、確かに内部Te原子は三方両錐型の超原子価結合構造を形成していることが証明された。また、カウンターイオンの効果は重要で、Cl^-を有する1は反応せず、CF_3CO_2^-を有する1は3aで止まり、CF_3SO_3^-を有する1のみ3a〜3cを生成した。 カチオン性オリゴテルロキサン3の^<125>TeNMRから、重合度の増加に伴い末端Te原子の化学シフトは高磁場シフトした。この結果は、重合度の増加に伴い、末端Te原子のカチオン性、即ち、反応性が低下することを強く示唆する。理論化学計算(密度汎関数法)からも、重合度の増加に伴い、末端Te原子のカチオン性が低下し、かつ、末端から2番目のTe-O結合が伸張することが示唆された。事実、3量体3aと4量体3bの1:1混合物に1当量のテルロキシド2を加えると、定量的に4量体3bのみを生成した。この結果は、本反応が段階的に進行することを意味し、これが2の化学量論に応じて高選択的にオリゴテルロキサン3を生成する理由である。また、2量体1と4量体3bを1:1で混合物すると、定量的に3量体3aのみを生成した。この結果は、オリゴテルロキサン3には平衡が存在することを示唆する。
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