1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640524
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 昌巳 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (00178576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 力 千葉大学, 工学部, 助教授 (70009538)
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Keywords | 絶対不斉合成 / 不斉結晶 / 不斉合成 / 結晶 / 固相反応 / 結晶構造 / キラル / アキラル |
Research Abstract |
結晶の特性を利用した次の2つのテーマについて研究した。第1は,アキラルな分子が形成する不斉結晶場を不斉源とする新しい絶対不斉合成を開拓した。第2として,結晶化により発現したキラリティを溶液系での反応に応用し,新しい不斉合成の概念を確立した。すなわち結晶化により形成された不斉な分子環境を均一系へと導き,溶液中での絶対不斉合成を達成できた事である。 配座変換や結合回転にある程度の活性化自由エネルギーを必要とする分子,すなわち室温付近では自由に回転が起こり,低温ではその変換が抑制できるような分子を構築した。このような分子は室温ではアキラルであるが不斉結晶を形成した場合,その結晶を低温で溶解後もキラリティを保つことができる。低温状態を保持したまま反応させ,新たな不斉中心を構築することにより,光学活性体を合成することができる。 窒素原子上の芳香環に嵩高い置換基を特つ鎖状のイミド光学不活性であるが,C-N結合の回転阻害により軸不斉となる。置換墓を種々変えてイミドを合成し結晶構造を解析したところ数種の基質が不斉結晶を形成した。これらの結晶を用いた固相光反応では,単一の立体配置の光学活性体が得られた。これらの基質はアリール基の嵩高い置換基の影響で自由な配座変換が押さえられている。すなわち,プロキラルなイミドの不斉結晶を溶解すると,その光学活性な配座が保持されている可能性がある。-20℃では溶解直後にラセミ化してしまう。しかしこれらの基質を-60℃で溶解し,その温度にて光照射したところ,生成物は2つの立体異性体の混合物であるが,それぞれが光学活性体として得られた。これらの分子が低温溶液中でも不斉環境を保持し,結晶化により記録された不斉環境を溶液系へ伝達,さらに,不斉合成も達成できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masami Sakamoto: "Solid-State Photochemistry: Absolute Asymmetric β-Thiolactam Synthesis from Achiral N, N-Dibenzyl-α, β-unsaturated Thioamides"Tetrahedron. (2000)
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[Publications] Masami Sakamoto: "X-Ray Crystallographic Analysis and the Photochemical Reaction of N-Benzyl-N-methylmetharyl thioamide in solution and the Solid-State"J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1. 3633-3636 (1999)
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[Publications] Masami Sakamoto: "Photochemical Reaction of Bis-aromatic Systems: A Novel Photocyclonddition of Pyridine with Furan"J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1. 171-177 (1999)