1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640526
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 啓二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50012456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今久保 達郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60291332)
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Keywords | 固相反応 / 転位反応 / 混晶 / 立体選択性 / カルボカチオン / 分子内転位 |
Research Abstract |
ジヒドロアントラセン-9,10-ジオール誘導体の結晶を加熱すると、結晶状態を保ったまま、脱水を伴って転位反応が起こることを見い出した。この反応は、溶液中でのピナコール転位に良く似た形式の反応であり、結晶中でもカルボカチオンを中間体として進行しているものと考えられる。この反応の一般性とメカニズムを検討した。いくつもの誘導体について検討した結果、転位する置換基はチオフェン環に特異的であることが分かった。構造の良く似たチオフェン異性体からなる化合物の混晶(固溶体)を用いた実験により、この反応は non-topotactic な分子転位反応であることを証明した。 また、これらのチオフェン置換ジオール類を固体酸とともに、めのう乳ばち中で混合し擦り合わせることによっても、転位反応が容易に起こることが確かめられた。固体混合試料には着色が見られ、その電子スペクトルは別途合成したトリチル型カルボカチオン塩のスペクトルとほぼ一致したことから、固体中で酸触媒によりカルボカチオンが発生していることが実証された。また、固体混合摺り合わせにおける生成物時間変化を追跡したところ、シス形の原料ジオール方が、トランス形よりも転位しやすいことが分かり、転位反応の立体選択性を明らかにすることができた。
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[Publications] Y. Pontillon: "Experimental and Theoretical Spin Density in a Ferromagnetic Molecular Complex Presenting Interheteromolecular Hydrogen Bond"J. Am. Chem. Soc.. 41. 10126-10133 (1999)
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[Publications] K. Kuruma: "Guest-Exchange and Guest-Release via Gas-Solid Contact in Clathrate Crystals"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 1395-1401 (1999)
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[Publications] Y. Pontillon: "Experimental and Theoretical Spin Density in a Ferromagnetic Molecular Complex"Molecular Cryst. Liq. Cryst.. 334. 211-220 (1999)
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[Publications] K. Takahashi: "Preparation and Redox Properties of Longitudinally Twinned TCNQ:"Tetrahedron Letters. 40. 5349-5352 (1999)
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[Publications] H. Ohnuki: "Preparation of a New Conducting Langmuir-Blodgett Films Based on Oxygen Substituted TTF Derivative"Synth. Metals. 102. 1699-1700 (1999)