1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン-チオフェン融合体の合成と性質に関する研究
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11640528
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
樋口 弘行 富山大学, 理学部, 助教授 (00165094)
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Keywords | ポルフィリン / ビチオフェン / クロスカップリング / 拡張共役系 / 融合体 / 配向様式 / 電子構造 / 電子放出能 |
Research Abstract |
本研究課題は、光や電子的刺激に対して敏感に応答し機能する有機分子の設計を目的として、分子スイッチや光電流素子などの機能性材料開発のための基本的な構造条件を探索することである。その要件として、機能発現の中枢となるそれぞれの発色団間の相互作用が大きく、また、特定の配向性をもつ分子構造や集合体をどのようにして構築するかが重要である。本年度は、この標題研究におけるポルフィリン-チオフェン融合体の最初の例として、分子内で発色団間の相互作用がより大きくなるメソ位架橋ポルフィリンの共役系をジアセチレン結合によってさらに拡張し、かつ、その共役系に組み込まれた各発色団間の相互作用の程度を制御するために、3-ヘキシルチオフェン環部が頭/頭、頭/尾、及び尾/尾の配向様式で結合した3種類のポルフィリン-ビチオフェン融合体を設計し、それらの合成を行なった。合成は、それぞれの発色団構成成分の末端アセチレン体のクロスカップリング反応により行なったが、目的とする生成物以外にも、両端ポルフィリン環の間にビチオフェン成分が多数個導入された生成物の分離精製にも成功した。分子量及びNMRスペクトル測定により分子構造を決定したが、特にビチオフェン環部の化学シフトにわずかな差が観察されること以外に、これら3種の融合異性体間において拡張共役系としての分子構造には大差が無いことがわかった。しかしながら、紫外・可視吸収スペクトル測定や電気化学的性質の検討を行なった結果、3種の融合異性体の電子構造には配向様式に応じた著しい差が観察され、分子共役平面性の向上(頭/頭<頭/尾<尾/尾)の順に両末端のポルフィリン環同士の相互作用の程度や電子放出能が高まることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Higuchi H.他4名: "Synthesis and Properties of Orientational Isomers of Hybridized Dihexylbithiophene-Octaethylporphyrin Connected with 1,3-Butadiyne Linkages"Tetrahedron Letters. 40. 9091-9095 (1999)
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[Publications] Higuchi H.他5名: "Synthesis and Electronic Properties of d^8 Transition-Metal Complexes of Vinylene-Bridged Bis- and Tris(octaethylporphyrin)s"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 1887-1898 (1999)
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[Publications] Higuchi H.他4名: "Synthesis and Electronic Absorption Spectra of Orientational Isomers of Bithiophene Derivatives Bridged with 1,3-Butadiyne Linkages"Nonlinear Optics. 22. 337-340 (1999)
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[Publications] Higuchi H.他3名: "Synthesis and Electronic Properties of Ni-Pd-Pt Complex of Vinylene-bridged Tris(octaethylporphyrin)"Nonlinear Optics. 22. 333-336 (1999)