2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 二郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70249952)
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Keywords | 水素結合 / 電荷移動錯体 / 電子スピン共鳴 / HBCT |
Research Abstract |
Hydrogen-Bonded Charge-Transfer(HBCT)システムとして、N-アルキルビオルル酸を配位子とした新規遷移金属錯体、およびビオルル酸のカルボニル基をチオカルボニル基に変換した配位子の合成にも成功し、そのX線結晶解析も行い、ESR測定等により、結晶内における水素結合様式についての知見を得ることができた。また、分子内に種々の水素結合部位をもつ、キナクリドン誘導体の合成を行った。キナクリドン骨格に種々の置換基を導入することによって、ドナー性の向上と溶解性の向上をはかることができ、TCNEとの電荷移動錯体のX線結晶解析にも成功した。また、キナクリドン骨格としては初めてキノジイミン誘導体の単離にも成功している。同様にDNA型水素結合のモデルをHBCTシステムに組み込み、多段階レドックス系としての物性が期待できるようなヘテロ原子をキナクリドン骨格に組み込んだ、2,7-ジアルキルピリミド[4,5-g]キナゾリン-4,5,9,10(3H,8H)-テトロン誘導体の合成もおこない、電荷移動錯体を合成した。また、シアナニル酸を配位子に用いた種々の遷移金属錯体を合成し、X線結晶解析を行った。ほとんどの錯体で三次元的な水素結合ネットワークが確認できた。ESRスペクトルの測定より、[Cu(CNAL)_2(H2O)_2](phzH)_2(H2O)_4錯体で水素結合に起因する協同的Jahn-Teller相互作用が見られた。
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