1999 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族化合物とアルケンとの[3+2]光環化付加反応による三重項ビラジカル種の生成
Project/Area Number |
11640534
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
久保 恭男 島根大学, 総合理工学部, 教授 (40127486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 敏 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (00273920)
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Keywords | 環化付加反応 / 光化学反応 / 三重項ビラジカル / non-Kekule構造 / ESR / カルボン酸誘導体 / エステル / ニトリル |
Research Abstract |
[3+2]光環化付加反応を利用するtriplet biradical生成反応の全体像を解明するために,ナフタレン誘導体など芳香族化合物とアルケンとの分子間[3+2]環化付加反応を総合的に検討したところ,次の知見が得られた。 1.どのような分子間反応系でtriplet biradicalが有効に生成しうるのかを総合的に検討した結果,芳香族化合物としては種々の芳香環をもつジエステル類の反応が特に有効であり,またアルケンとしては芳香族置換基をもつアルケン類が特に有効であることが明らかになった。さらに,溶媒では四塩化炭素,ベンゼンなど極性の低い溶媒ほど,また温度に関しては低温ほど,triplet biradicalが有効に生成しうることが明らかになった。 2.種々のアルケンを用いて芳香族化合物のケイ光消光実験を行い,得られたケイ光消光速度定数とtriplet biradicalの生成しやすさとの関係を評価したところ,消光速度定数の大きな系でtriplet biradicalが生成しやすくなる傾向が認められた。また,アルケンと比較すると,酸素やフロニトリル等のラジカル捕捉剤は,芳香族化合物のケイ光をほとんど消光しないことが明らかになった。 3.[3+2]環化付加反応で生じる中間体を種々の分子軌道法により解析したところ,一重項状態より三重項状態のエネルギーが低く,non-Kekule構造をもつ分子としての特徴を示すことが明らかになった。 4.種々の分子間反応系に対して,低温マトリックス中でのESR測定を行ったが,残念ながら現時点ではtriplet biradical種の生成を確認できていない。 以上の研究より,分子間反応におけるtriplet biradical生成反応の概要が明らかになったので,平成12年度は,それらの知見をもとに,分子内反応系への展開をはかる。
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