2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子内ヘテロDiels-Alder反応の新手法による選択的縮合複素環構築の開拓
Project/Area Number |
11640540
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 英治 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (00158685)
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Keywords | 触媒的不斉反応 / 連続反応 / 分子内ヘテロDiels-Alder反応 / エーテル交換 / 光学活性縮合複素環 / ヘテロ1,3-ジエン / 不飽和カルボニル化合物 / 不飽和アルコール |
Research Abstract |
初年度において熱的条件下での種々アルコキシ置換活性型不飽和カルボニル化合物とδ,ε-不飽和アルコール(1-3級)との連続的エーテル交換/分子内へテロDiels-Alder反応による一般性の高い"選択的縮合複素環構築の新方法論"を開拓した。本年度は、本連続反応の不斉触媒化への展開研究を遂行した。すなわち、キラルルイス酸触媒との強固なキレーションによって効果的不斉場の構築が期待できる(E)-4-メトキシ-2-オキソ-3-ブテン酸を基質として用い、一級アルコールである5-メチル-4-ヘキセン-1-オールとの反応を種々のキラルルイス酸触媒下で検討した。その結果、収率(〜20%)に問題はあるものの不斉収率(92%ee)の点からはビスオキサゾリン誘導体を配位子とする金属錯体が最も効果的に機能することを見い出した。そこで、より活性な親ジエン部位を有する(E)-5-エトキシ-4-ペンテン-1-オールとの反応を検討した。その結果、反応は速やかに進行し(収率、74%)、対応するピラノピラン体が高エナンチオ選択的(最高、>99%ee)に得られた。また、この反応の詳細な条件検討により、反応性の向上にはMS 5Aの添加が必須であることが明らかになった。この知見を基に再度5-メチル-4-ヘキセン-1-オールとの反応をMS 5A存在下で行ったところ反応は速やかに進行し好収率(76%)かつ好エナンチオ選択的(97%ee)に対応する付加体が得られた。さらに、不斉収率の向上にモレキュラーシーブスの量が重要であり、反応スケール1mmol当たり少なくとも500mg必要であることも明かとなった。同様の条件下2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールとの反応においても高収率(最高90%)、高立体かつ高エナンチオ選択的(最高98%ee)に対応する付加体が得られた。また、立体的にエーテル交換反応が進行しにくい3級アルコールである1,1,5-トリメチル-4-ヘキセン-1-オールとの反応もMS 5Aの添加量(2g/mmol)を増やす(74%,98%ee)か過剰のアルコール(5当量)を用いることで満足できる結果が得られた(69%,98%ee)。以上、分子内へテロDiels-Alder反応の新手法による選択的縮合複素環構築の開拓とともにその不斉触媒化にも成功した。
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[Publications] E.WADA,G.Kumaran,S.Kanemasa: "A novel tandem transetherification-intramolecular hetero Diels-Alder reactions for construction of fused heterocycles"Tetrahedron Letters. 41・1. 73-76 (2009)