1999 Fiscal Year Annual Research Report
超配位結合をもつアリール亜セレン酸を触媒とする不斉エポキシ化反応に関する研究
Project/Area Number |
11640541
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大波 哲雄 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70137008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐山 信成 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (40162531)
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Keywords | アリール亜セレン酸 / 過酸化水素水 / オレフィン / 不斉エポキシ化反応 / 触媒反応 |
Research Abstract |
光学活性置換基を持つアリール亜セレン酸を触媒とし、H_2O_2によるオレフィンの不斉エポキシ化反応を計画した。この反応において高い光学収率を実現するためには、より嵩高い反応中心を持つアリール亜セレン酸が触媒として最も有効であると考えられたので、はじめにアリール亜セレン酸の合成を行った。 目的とする亜セレン酸を合成するためには、市販の2-methyl-6-nitroaniline(1)が出発原料として最適であると考えられた。1の1位のアミノ基をアセチル化して保護し、2位のメチル基を酸化しカルボン酸としたのち、光学活性置換基に変換し、次いでセレンを1位に導入する合成経路が考えられた。無水酢酸を用い、種々の条件で1のアセチル化を行ったが、1が回収された。反応性の高い無水トリフルオロ酢酸/THFで処理するとトリフルオロアセチル体(2)が得られた。(86%)。2をKMnO_4で酸化したが、1として回収された。そこで、はじめに1の1位をセレンで置換し、次いで2位のメチル基を酸化することを試みた。1のアミノ基を常法に従いジアゾ化した後、KSeCNで処理すると2-methyl-6-nitrophenyl selenocyanate(3)が得られた(76%)。3をNaOMe/CH_3OHで処理し、Bis(2-methyl-6-nitrophenyl)diselenide(4)に変換した(63%)。4の2位のメチル基の酸化と亜セレン酸への酸化をKMnO_4で行ったが、目的とする2-carboxy-6nitrophenylseleninic acid(5)は得られなかった。一方、4をH_2O_2で酸化し2-methyl-6-nitroseleninic acid(6)に変換後(93%)、2位のメチル基をKMnO_4で酸化すると、5のカルボキシル基と亜セレン酸から分子内で脱水環化したと考えられる亜セレン酸無水物(7)が低収率で得られた(15%)。更にCrO_3/H_2SO_4/無水酢酸による酸化反応を3、4に対して試みた結果、同様に、7が得られることが分かった(30-40%)。現在、7から亜セレン酸(5)およびそのエステル誘導体への変換反応について種々検討している。
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