1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640557
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金森 寛 富山大学, 理学部, 教授 (00019001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道端 斉 広島大学, 理学部, 教授 (00111740)
|
Keywords | ホヤ / バナジウム / 還元 / NADPH / システイン |
Research Abstract |
海産動物のホヤが,その血球内に3価バナジウムを高濃度に濃縮しているという現象は,大きな注目を集めているが,その濃縮機構は解明されていない。海水中のバナジウムは5価であることから,ホヤによるバナジウムの濃縮には,還元反応が共役していることが強く示唆される。そこで,申請者は,ホヤのバナジウム還元機構の解明を目指した実験を行った。バナジウム錯体の酸化還元電位は,配位子によって大きく変化するにも係わらず,従来の研究では,そのことが軽視されてきた。そこで,配位基の種類・性質および錯体幾何構造の違いが,3,4,5価バナジウム錯体の安定性に及ぼす影響を詳しく評価するために,(1)様々な配位基をもつ特定の構造の配位子(例えば,三脚型四座など)を合成し,(2)その配位子を含む3,4,5価バナジウム錯体を合成して構造を決定し,(3)それら錯体の電気化学的性質を調べることにより各酸化状態の安定性を調べることにした。 ホヤの含バナジウム細胞(バナドサイト)にNADPHを生成する酸素群が存在すること、および、バナジウム結合タンパク質がシステインリッチであることが明らかにされていることから,生体関連還元剤としてはNADPHとシステイン誘導体を用いた。共存配位子としては,すでにedtaが有効であることを報告しているので,まず種々のアミノポリカルボン酸を共存させて,システイン誘導体によるバナジウム(IV)から(III)への還元が起きるか否かを系統的に調べた。現在のところ,6座配位子では7配位バナジウム(III)錯体を与える配位子では,還元反応が起きるが,6配位錯体を与える配位子では還元反応が起きないことが明らかになってきた。しかし,7配位バナジウム(III)錯体を与えるnta共存下では還元は起きない。現在、この現象を理解するために,錯体の構造と電気化学的性質を詳しく検討している。
|