1999 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体界面活性剤による逆ミセル形成と錯体分子構造との関連性
Project/Area Number |
11640565
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
飯田 雅康 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00107343)
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Keywords | 両親媒性金属錯体 / 亜鉛 / パラジウム / カドミウム / マイクロエマルジョン / 逆ミセル / 自己拡散 |
Research Abstract |
配位子として一本のアルキル鎖を持つものが二個配位した両親媒性金属錯体は,親水性一疎水性バランス(HLB)が優れていて,水中または水/有機溶媒混合系で多様な集合体を広範に形成することを我々のグループが見いだして来ている。今年度は更に新たな幾種類もの同じタイプの錯体を合成して溶液の物理化学的性質を調べた。大きく分けて次の二つの成果をあげた。1)親水性の高いビス(ヘキシルエチレンジアミン)亜鉛(II)塩化物を合成し,水/メタノールならびに,水/クロロホルム混合溶媒系での溶解度ならびに会合挙動を調べた。その結果,親水性が高いにもかかわらず,クロロホルム中で逆ミセル会合体を形成することが分かった。また水中ならびにクロロホルム中での高い次元の会合度やサイズを拡散係数,粘度の測定から見積もった。2)パラジウムならびにカドミウムのビス(オクチルエチレンジアミン)錯体塩化物の水/クロロホルム混合溶媒中での会合挙動を1)と同様な手法で調べた。先に調べた亜鉛の塩化物と比べた結果,いずれの錯体も水にも油にも溶けにくいにもかかわらず,水/クロロホルムならびに水/メタノールの混合溶媒系によく溶け広範に会合体を形成することが分かった。親水性→疎水性はパラジウム錯体>亜鉛錯体>カドミウム錯体の順であった。パラジウムと塩化物イオンとの相互作用(共有結合性)は単純塩では一番強いのにもかかわらず,エチレンジアミンが四配位をとるために配位できなくなり,イオン結合性すなわち錯体としては強電解質になった。
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[Publications] 飯田雅康: "Conductivity and Solvation of Li^+ Ions of LiPF_6 in Propylene Carbonate Solutions,"J.Phys.Chem.. (in press). (2000)
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[Publications] 飯田雅康: "Multinuclear NMR Studies on the Interactions of Cobalt(III) Complex Ions in Organized Solutions,"Recent Res.Develop.in Phys.Chem.,. 3(in press). (2000)
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[Publications] 飯田雅康: "Nuclear Quadrupole Interaction in Crystalline tris[trans-(1R,2R)-1,2-diaminocyclohexane]cobalt(III) Chloride Trihydrate,"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 72. 2029-2031 (1999)