2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640567
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
桶矢 成智 和歌山大学, システム工学部, 教授 (00031815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 和香子 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (50169794)
橋本 正人 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (50237947)
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Keywords | 5配位錯体 / トランス効果 / シス効果 / カルボニル炭素 / 求核付加反応 / 白金(II)錯体 / ハライドイオン / シッフ塩基 |
Research Abstract |
ハライドイオンを含む5配位錯体,[PtX(hfac-O,O')_2]^-(hfac=ヘキサフルオロアセチルアセトネート)の溶液中のダイナミクスを温度変化NMRで調べた結果得られたトランス効果の順、I>Br>Clとシス効果の順、Cl>Br>Iをab initio MO計算で確かめた。計算では、5配位構造の最適化と、考えられる分子内サイト交換運動の各経路についての遷移状態の構造およびエネルギーを求めた。その結果、5配位構造の計算結果は実測のX線構造によく一致した。また、遷移状態のエネルギーから2つの経路が働いている可能性が認められ、それぞれから実験で得られたトランスおよびシス効果の序列と一致することがわかった。シス効果の順が決定されたのはこれが初めてである。[Pt(hfac)_2]と一級アミンであるMeNH_2との反応では5配位錯体はできず、アミンがhfacのカルボニル炭素に付加した珍しい錯体,(MeNH_3)^+[Pt(hfac)(hfac-NHMe)]^-ができた。今年度はさらに、エチレンジアミン類が-NH_2部分で付加したzwitter ion型錯体,[Pt(hfac)(hfac-NH(CH_2)_2NHR_2)]を合成し、そのX線解析に成功した。転移したアミノプロトンはカルボニル酸素と水素結合して構造安定化に寄与していることがわかった。温度変化NMRの測定により、エチレンジアミン部分は容易に解離し、[Pt(hfac)_2]の4つのカルボニル炭素の間を飛び回る運動をしていることがわかった。アミンがカルボニル炭素に付加した状態は準安定状態であり、溶液を室温で放置するとアミンは金属を攻撃して置換生成物である、[Pt(hfac)(en)](hfac)や[Pt(en)_2](hfac)_2(en=R_2N(CH_2)_2NH_2)を与えた。
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