1999 Fiscal Year Annual Research Report
異方的分子間相互作用による伝導性超分子フレームの構築と複合物性の開拓
Project/Area Number |
11640575
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今久保 達郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60291332)
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Keywords | テトラチアフルバレン / 分子性導体 / 結晶設計 / ヨウ素 / 超分子 |
Research Abstract |
I・・・N型分子間相互作用を活用した超分子構造と複合機能を持つ分子性導体の開発を目指して、含ヨウ素TTF誘導体の合成とカチオンラジカル塩の作成を行った。 1.共役系を拡張した含ヨウ素ドナー分子合成法の開発 より安定な高伝導金属状態を目指して、従来の含ヨウ素ドナー分子の共役系をビニローグ骨格により拡張した種々の新規ドナー分子を合成した。含ヨウ素誘導体は従来のビニローグ合成法では合成が不可能であったが、種々のルートを検討した結果、チオケトンとアルデヒド誘導体のダイレクトカップリング反応により一段階で合成する方法を見い出した。この方法は含ヨウ素誘導体以外の一般的TTF誘導体の全てに適用可能であることが判っており、その応用範囲は非常に広い。 2.伝導性有機ゼオライトの物性開拓 ピラジン環とヨウ素原子2つを併せ持つドナー分子DIPS(Diiodo(pyrazino)diselenadithiafulvalene)用いたカチオンラジカル塩うち、6方晶系の超分子構造を持つ塩について、結晶中に存在するゼオライト様の一次元チャンネルを生かした新規物性の開拓を目指し、第一段階として熱物性に関する検討を行った。その結果、いくつかの塩において、一定温度での加熱により抱接された結晶溶媒が結晶の外形を保ったまま脱離すること、さらに高温の加熱により結晶中のドナーが中性状態へと還元されることを見い出した。来年度以降、反応機構・温度条件などの詳細を検討していく予定である。
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