2001 Fiscal Year Annual Research Report
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11640577
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
堀 佳也子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70029891)
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Keywords | 偶奇効果 / 液晶 / 結晶構造 / 結晶間相転移 / キラル認識 / 親フッ素効果 / 半経験的分子軌道法 / 極性 |
Research Abstract |
(1)融点や透明点に顕著な偶奇効果を示す2つの系列のダイマー型液晶物質(アルキル型、エステル型)の結晶から液晶への相転移に伴う構造変化を調べるため、赤外スペクトルの温度変化、放射光施設(兵庫県)での粉末X線回折パターンの温度変化の測定を行った。その結果、アルキル型のn=9の精製粉末試料には、構造解析済みの三方晶系に属する結晶以外の結晶相が混在していることを見いだした。n=8においては、室温以下での相転移を見いだしているが、n=7、10では、室温以上での結晶間相転移の存在を見いだした。他方、エステル型では、高温まで、結晶間相転移を起こさず、直接液晶相に転移する。 (2)キラル認識により特異な等方性液晶相が発現するジフェニルピリミジン系液晶性物質の、等方性液晶相を発現しない2種の構造異性体の構造解析を行ったところ、ピリミジン環の窒素原子の位置の違いにより、非常に異なる構造をとることが明らかになった。これらの構造の違いの起源を探るため、半経験的分子軌道法により、分子の双極子モーメント、ならびに結晶全体の極性の見積もりを行っている。 (3)パーフルオロオクチル基をもつ系列の液晶物質に関しては、アルキル鎖長n=4に関し、構造解析をおこなったが、200Kにおいても、温度因子が大きく、解析が困難であった。そのため、100Kでも測定を行ったが、3倍の大きさの超格子が得られ、まだ解析が完了していない。概略構造としては、どちらの場合もフッ素原子同士の集合(親フッ素効果)が見られる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Seo, K.Hori: "Packing Modes in Crystals of Mesogenic Biphenyl Esters with Normal Alkyl and/or Alkoxy Chains"Lig. Cryst.. 28. 77-88 (2001)
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[Publications] K.Kimoto, M.Duan, H.Okamoto, V.F.Petrov, K.Hori, S.Takenaka: "The Effect of Trifluoromethyl and Difluoromethoxy Groups on Mesomorphic Properties"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 364. 733-738 (2001)
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[Publications] K.Hori, C.Kubo, H.Okamoto, S.Takenaka: "Crystal Structures of Several Fluoro-mesogens"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 365. 617-637 (2001)
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[Publications] M.Yoshida, N.Seo, K.Hori, H.Toriumi: "Computer Simulation of Biphenyl-Phenyl Ester Liquid Crystals"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 365. 813-826 (2001)
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[Publications] Y.Matsunaga, K.Hori, A.Yoshizawa, T.Kusumoto: "Chiral recognition in the crystal structure of a dichiral mesogen with a unique isotropic mesophase : 2-[4-[(R)-2-fluorohexyloxy]phenyl]-5-[4-[(S)-2-fluoro-2-methyldecanoyloxy]-phenylpyrimidine"Lig. Cryst.. 28. 1805-1812 (2001)
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[Publications] 堀 佳也子: "結晶構造を通して液晶分子の相互作用を探る"液晶(日本液晶学会誌). 5(4). 316-326 (2001)