1999 Fiscal Year Annual Research Report
各種気体-C60-アルカリ金属三元系分子設計による新機能・反応場の創製
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11640586
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
市村 憲司 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00151481)
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Keywords | フラーレン / 希ガス結合 / 特異的相互作用 / 超伝導性 / 昇温脱離 / X線光電子分光 / 機能性 / 反応場 |
Research Abstract |
C_<60>の二元系、三元系で窒素、水素の相互作用に加えて、希ガスの特異的な相互作用を見出した。 Na-C_<60>二元系では超伝導性を示さないが、窒素および水素との三元系形成により超伝導性を発現する。このNa_xH_yC_<60>(x=3〜4)系及びC_<60>とヘリウム、ネオン及びアルゴンガスとの相互作用を、質量分析昇温脱離法及びX線光電子分光法により調べた。 Na_xH_yC_<60>試料は、水素化ナトリウムとC_<60>の化学量論的に混合した粉末をESR石英管に真空封入し、280゜Cで1時間加熱することにより合成した。Na_xH_yC_<60>あるいはC_<60>試料を、超高真空装置の試料管に入れ、超高真空下で開封した後、試料を380゜Cまで真空加熱排気し、その後100〜200゜C、約1気圧の希ガスと接触させた。その後、試料を加熱しそのときに脱離する気体を質量分析し、時間ならびに温度を関数とする昇温脱離スペクトルを測定した。試料をグローブバッグを使いin-situでVG ESCALAB MkIIに移し、XPSスペクトルを測定した。脱離ピークは、70K、300K及び450-900K付近に観測された。Na_xH_yC_<60>とC_<60>試料では、脱離ピーク温度が異なっている。この脱離挙動は、真空排気時間には依存しない。 XPSスペクトル測定において、C1s及び価電子帯領域のピークプロファイルは希ガスの接触後ホスト試料とは異なる。Ar接触により、Ar2p及び3sのピークが明瞭に現れると共に、大きなケミカルシフトが観測された。 以上の研究に基づき、特異的な相互作用を持つ結晶場サイト及び希ガスの結合を見出した。 本研究における初年度の目的は上述のように達成され、その研究成果を国際会議、国内学会、学術雑誌並びに著書に報告した。本研究で見出されたヘリウム、ネオン、アルゴンの希ガス系の特異的な相互作用は、今までに報告された例はない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Imaeda,F.Tian,H.Inokuchi and K.Ichimura: "Three Components Organic Superconductors:Intercalation of KH into C60"J.Solid State Chem.. 145. 421-426 (1999)
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[Publications] K.Ichimura,K.Imaeda and H.Inokuchi: "Bonding States of He,Ne and Ar in Solid C60"Chemistry Letters. (in press). (2000)
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[Publications] K.Ichimura,K.Imaeda and H.Inokuchi: "Characteristic interaction of Na-H-C60 with hydrogen and rare gases"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. (in press). (2000)
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[Publications] K.Imaeda,H.Inokuchi,K.Ichimura,et al.: "Hydrogen Intercalation in Potassium-C60"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. (in press). (2000)
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[Publications] 市村憲司: "水素"研成社. 108 (1999)