2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規高スピン多核金属錯体超分子の合成とその複合機能物性
Project/Area Number |
11640591
|
Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80257964)
|
Keywords | 単一分子磁石 / Mn12核錯体 / 磁化率 / 電荷移動錯体 / カルボン酸 / TTF誘導体 / 電荷移動吸収帯 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトにおいては,Mn12核錯体をベースにした,新しい単一分子磁石の構築を目指した。 1)Mn12核錯体の化学修飾 単一分子磁石として知られるMn12核錯体は16個の架橋カルボキシル基があり、これらを置換することにより化学修飾が可能である。いくつかのカルボン酸を用いて置換反応を行いその磁気特性を調べた。その結果、単一分子磁石としての特性を損なわずに置換できたもの(アダマンタンカルボン酸、トランス-3-(3-チエニル)アクリル酸、ヘプタフルオロブタン酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸)と、置換した結果特性を失うもの(デカン酸)が存在することを明らかにした。また磁石となる特性温度(T_B)は酢酸で置換したMn12-Acの場合(3K)に比べていずれの場合も2.8Kと低くなることを明らかにした。 2)Mn12核錯体と各種ドナーとの電荷移動錯体の形成 Mn12核錯体といくつかのTTF系ドナーとの電荷移動錯体の形成を試みた。ドナーとしてdimethyldiphenyl-TTFを用い、ペンタフルオロ安息香酸で置換したMn12核錯体の溶液と混合することにより1電子移動が起こり、ドナーカチオンとMn12核錯体アニオンが生成した。この溶液から結晶性の固体が得られ、その吸収スペクトルは520nm付近にεが3万以上の強い吸収帯を示した。これはこのTTF誘導体単独あるいはそのカチオンにおける吸収帯とは異なっていることから、電荷移動錯体形成による相互作用の結果であると考えられる。この電荷移動錯体の形成は溶液混合直後には起こっておらず、かなり長時間必要であることを、溶液のNMR及びESR測定から明らかにした。この電荷移動錯体の磁性は単一分子磁石の特性を有していることがわかった。
|
-
[Publications] Takayoshi Kuroda-Sowa,Motohiro Nakano,George Christou,and David N.Hendrickson: "Effects of Paramagnetic Fe(C_5Me_5)_2 ^+ Cation on the Anionic Single-Molecule Magnets, [Mn_<12>O_<12>(O_2CC_6H_4F(-o))_<16>(H_2O)_4]"Polyhedron. (2001)
-
[Publications] Takayoshi Kuroda-Sowa,George Christou,and David N.Hendrickson: "Field-Tuned Tunneling In [Fe(C_5Me_5)_2][Mn_<12>O_<12>(O_2CC_6F_5)_<16>(H_2O)_4] Studied By Ac Magnetic Susceptibility"Molecular Crystals and Liquid Crystals. (2001)