2000 Fiscal Year Annual Research Report
金属元素を含む分子性結晶の作成と伝導性・磁性の研究
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11640593
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
井口 眞 山口東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (80291821)
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Keywords | 分子性伝導体 / 相転移 / 温度-圧力相図 / 電気抵抗 / 高圧 / 圧力効果 / Ni(dmit)_2塩 / α-Et_2Me_2N[Ni(dmit)_2]_2 |
Research Abstract |
α-Et_2Me_2N[Ni(dmit)_2]_2の相転移に対する圧力効果 α-Et_2Me_2N[Ni(dmit)_2]_2は、室温から低温まで金属的な電気抵抗の挙動を示すが、245KにEt_2Me_2N^+のorder-disorderの構造相転移に伴う抵抗の急激な上昇または減少が観測される。この電気抵抗の変化は、構造相転移に伴う結晶内のクラックが原因で、温度変化が急な場合には、結晶が割れることや結晶面につけた端子がはずれることで、測定ができなくなる。また、圧力下での実験では、圧力変化が急な場合は、測定が困難となる。今回は、昨年度に作製した回転式微量油圧ポンプを利用して、結晶に圧力を徐々にかけ、金を蒸着した結晶面に銀エポキシ接着剤を用いて端子づけをすることで、電気抵抗の低温、圧力下での一連の測定に成功し、245Kの相転移に対する圧力効果を調べ、相図を作成した。 室温(293K)での圧力依存性の実験では、加圧に従って抵抗値が低下していくが、0.11〜0.19GPaで大きな減少が見られ、それ以上では圧力による変化の小さな状態になる。一方、室温で0.17GPaと0.28GPaに加圧した状態で冷却し、測定した温度依存性では、常圧245Kに見られる相転移による大きな変化が消失し、代わりに、0.17GPaでは280K、0.28GPaでは304Kに小さな変化が観測された。常圧245Kの転移点とこれら2点に、圧力依存性で変化の現れた室温0.19GPaの4点の圧力と温度の関係を図示すると、同一の線上にあり、相関関係があることがわかった。すなわち、245Kの構造相転移の転移温度は、圧力によって上昇し、室温では0.11〜0.19GPaで観測されることが明らかとなった。その温度上昇の割合は、0.1GPa当たり約20Kである。
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