1999 Fiscal Year Annual Research Report
高度の電子輸送能を有するナノスケール単一分子電線の創出
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11640595
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
田中 彰治 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20192635)
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Keywords | 分子エレクトロニクス / 分子スケール エレクトロニクス / ナノテクノロジー / 巨大分子 / 単一分子 / オリゴマー / パイ共役系 / 分子ワイヤー |
Research Abstract |
10nm超級の多機能・高次パイ共役オリゴマー構築法の新規開発: 単一分子電線は分子スケールエレクトロニクス素子の根幹要素の一つである。現在の電子線リソグラフィ-技術の限界を鑑みると、単一分子電線の電子輸送能の直接計測のためには"鎖長10nm級"の鎖状パイ共役分子が必要とされている。このサイズの分子の合成に際しては、低溶解性や分離精製/構造決定の困難さが大きな障害となり、各種機能ユニットの選択的な導入法は未だ確立されていない。本研究では、各種機能ごとに最適化された構造を持つ分子量数千程度の可溶性・分子モジュールを多種類開発し、それらモジュールを順次結合することにより、鎖長10nm級の"非周期的・定序配列・定鎖長の巨大パイ共役分子"の合成法の開発を行なった。第一段階として、鎖長1.5〜2.5nm(分子量1000-1500)クラスの各種可溶性オリゴマーについて、「カップリング反応サイトとなる置換基の位置選択的導入法」の検討を行った。まず、一般的な求電子置換反応を試みたが、この形状/サイズの分子では反応の位置選択性が低分子の場合と比べて大きく低下することが判明した。しかし、スタベース型の保護基を導入しリチオ化体を合成中間体とすることにより、各種の臭素置換体やスズ置換体を選択的に得ることができた。得られた置換体を用いてクロスカップリング反応を行うことにより、各種の鎖長3〜5nm(分子量2000-3000)級の高次チオフェン・オリゴマーを選択的に合成した。このサイズの分子においても上記の置換基導入法は有効であり、同様にして現在までに各種機能部位、化学修飾サイトを組み込んだチオフェン28量体(I〜10nm、分子量6751)の選択的合成まで成功している。
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[Publications] Shoji Tanaka and Yoshiro Yamashita: "New Building Unit for Rigid and Coplanar oligo-Aromatic Molecular Wire with Insulting Mantel"Symth. Met.. 101. 532-533 (1999)
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[Publications] Yoshiro Yamamoto, Masaaki Tomura, Shoji Tanabe and Kenichi Imaeda: "Novel TTF Vinylogues Affording Seable Cation Radicals"Symth. Met.. 102. 1730-1731 (1999)