2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640597
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂本 健吉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50187035)
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Keywords | ジチアシロール / ビシクロ[3.2.0]ヘプタトリエン / 高歪み化合物 / ジチアン / 有機ケイ素化合物 / シラトリアフルベン / 光反応 / シロール |
Research Abstract |
(1)ジチアシロール類、すなわち1,3-ジチア-2-シラシクロペンタ-4-エン誘導体を系統的に合成した。その物性を検討した結果、シロールとは異なり、ジチアシロールでは、ケイ素上の置換基が最高占有軌道(HOMO)準位に摂動を与えることを見出した。特にケイ素上に2つのシリル基を持つ誘導体は、ケイ素上にメチル基を有する対照化合物に比べて第一イオン化ポテンシャルが0.5eVも小さい。また、これらの化合物の固体中の構造をX線結晶構造解析法により決定した。 (2)シラトリアフルベン誘導体とシクロプロペノン誘導体の反応により、高度に歪んだ構造を有する1-シラビシクロ[3.2.0]ヘプタ-2,4,6-トリエン誘導体(1)が得られた。1の炭素類縁体は、反応中間体として仮定されているのみで、その存在は確認されていない。ケイ素原子を導入することで、この骨格が安定に単離できたことは興味深い。また、シラトリアフルベンとアダマンタノンの反応により、1とは異なった形式の付加体が得られたため、その構造をX線結晶構造解析法により決定した。 (3)一連の1,3-アリール置換ジチアンのシリルおよびジシラニル誘導体を系統的に合成し、その物性と光反応性を検討した。その結果、ジシラニル誘導体において、紫外吸収の顕著な長波長シフトが観測された。これらの化合物は、特徴的な光反応性を示した。すなわち、シリル誘導体は、光照射によりイオウ部分が還元され、ベンジルシラン誘導体が高収率で生成した。またジシラニル誘導体の光反応では、シリル基の転移をともなうシラエテンの発生が観測された。
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[Publications] K.Sakamoto,S.Tsutsui,K.Ebata,C.Kabuto,and H.i.Sakurai: "Synthesis, structure, and photochemistry of tetrakis-(trimethyl-silyl)-p-benzoquinone"Chem.Lett.,. 226-227 (2000)
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[Publications] S.Tsutsui,M.Takahashi,and K.Sakamoto: "Preparation and properties of 2,2-bissilyl-1,3-dithia-2-silacyclopent-4-enes and related compounds"Chem.Lett.,. 1376-1378 (2000)
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[Publications] E.Kwon,K.Sakamoto,C.Kabuto,and M.Kira: "Hydrogenation of silyl-substituted alkynes using diimide. Application to the synthesis of saturated sila-macrocycles"Chem.Lett.,. 1416-1417 (2000)
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[Publications] M.Takahashi,S.Tsutsui,K.Sakamoto,M.Kira,T.Muller,and Y.Apeloig: "Dimers of diaminosilylenes_Doubly bonded bridged? The dimers of (i-Pr2N)2Si :"J.Am.Chem.Soc.,. 123. 347-348 (2001)
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[Publications] K.Obata,K.Sakamoto,and M.Kira: "Novel polysilane synthesis using photochemical vapor deposition"Macromolecules,. 34(印刷中). (2001)