2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640628
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
|
Keywords | 細菌群集 / 強酸性湖 / 潟沼 / 硫化水素 / 循環期 / 停滞期 / 16SrRNA遺伝子 / 系統分類 |
Research Abstract |
宮城県鳴子町の強酸性湖潟沼において、前年度に引き続き今年度も、細菌現存量、水質の調査を2週間間隔で行い、更に細菌の分子系統分類的な解析を試みた。 1.潟沼は湖底からの熱供給があるため停滞期の成層状態が弱く、急激な気温低下があると、湖水が一時的に数日間全循環する現象が起き、それに伴い硫化水素を含む無酸素状態が全層に広がることが前年度数回確認されている。しかし2000年は気温の低下がなかったため、成層が保たれ、停滞期には深層水は無酸素状態となり硫化水素が蓄積され、秋の循環期に入ってから、無酸素状態は全層に広り、その状態は数週間続いた。 2.蛍光染色による細菌現存量の計測から、2000年は糸状細菌が停滞期に、表面と温度躍層直下の2層に1999年より高密度で優占したが、秋の循環期になると全層で低密度になった。一方、桿菌は1999年には循環期に入り密度が微増したが、2000年は前年より出現が早まり、その密度も高かった。細菌群集は湖水の成層状態に大きく影響を受けていることが明らかになった。 3.各種培地を用いて湖水より菌株の単離を試みたが、停滞期の表水層から従属栄養細菌のみが単離でき、これらの菌株の16SrRNA遺伝子塩基配列を決定した結果、プロテオバクテリアαグループに属するMethylobacterium fujisawaenseにそれぞれ99.5%と98.6%の相同性持つ2株と、γグループのLysobacter enzymogenesに99.2%の相同性を持つ株であることが明らかになった。後者はデータベース上の鉄酸化無機栄養細菌とも99.2%相同性を持っていて、独立栄養に寄与している可能性が示唆された。 4.湖水のサンプルから直接にクローングによって、塩基配列を決定する予定であったが、まだ決定できておらず、優占種と考えられる糸状細菌の系統分類による解析が将来の課題として残った。
|
Research Products
(1 results)