1999 Fiscal Year Annual Research Report
ベニツチカメムシのメタ個体群における移動様式と遺伝変異
Project/Area Number |
11640635
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野間口 真太郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (80253590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 京子 産業医科大学, 医学部, 助手 (10215923)
フィリッピ リサ 佐賀医科大学, 医学部, 外国人教師 (80295055)
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Keywords | メタ個体群 / 保育行動 / ツチカメムシ / 給飼行動 / 移動分散 / 遺伝解析 / 九州 / ボロボロノキ |
Research Abstract |
今年度は、以下のような野外調査・実験を行い、結果を得たので報告する。 (1)ベニツチカメムシのメタ個体群の内部構造の調査 佐賀県神崎郡日の隈山に約100x60mの調査区を設置し、メタ個体群の内部構造の調査を行った。数10から2,000個体までのさまざまなサイズの約50の小集団が、近接しているものでは3m、離れたものでは約10mの距離で分布していた。その中では同じ寄主木を利用していると思われる近接した集団(寄主木集団群)や、異なる寄主木を利用していると思われる集団があり、メタ個体群内に、階層的な構造のあることがわかった。 (2)メタ個体群内の分集団間移動の調査 比較的大きなサイズの集団の個体にマークをつけ、その後の移動の様子を観察した。配偶行動の時期に雄がよく分散し、ほとんどは近接の集団への移動であるが、まれに約50m離れた集団へも移動していることがわかった。雌の移動は交尾後、餌摂食のための寄主木への移動が主であることがわかった。雌はさらにその寄主木の周辺で営巣し、産卵し、子の保育を行う。子供たちが独立すると、当該の寄主木に集合するため、寄主木集団群の中では、この時期に遺伝的なミックスが起こることがわかった。 (3)メタ個体群間の遺伝的差異の分析 約50km離れた神崎郡日の隈山と武雄の2つの個体群より、雄雌各々20個体づつを採集し、PCR法を用いた遺伝分析を行った。現在、プライマーの選定作業も含めて分析を行っているが、いくつかの有望なものが見つかっている。それによると、2つの個体群間で明らかな遺伝的パターンの違いが検出された。
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[Publications] Filippi L.,S.Nomakuchi,M.Hironaka,S.Tojo: "Insemination success discrepancy between long and short term mating in the provisioning shield bug,Parastrachia japonensis(Hemiptera: Cydnidea)"Journal of Ethology. (印刷中).