1999 Fiscal Year Annual Research Report
高地の低大気圧環境に対する個葉の順化・適応機構の解明
Project/Area Number |
11640638
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横井 洋太 北里大学, 一般教育(基礎科学センター), 教授 (90007758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 剛 北里大学, 一般教育(基礎科学センター), 助手 (60205747)
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Keywords | 個葉光合成 / 低大気圧 / 酸素分圧 / イタドリ / 葉内CO_2拡散コンダクタンス / ルビスコ活性 |
Research Abstract |
本研究は,高地の低大気圧がC_3植物の個葉光合成に与える影響とその機構を明らかにし,高地低大気圧環境に対する植物の順化・適応機構を明らかにすることを目的としている.本年度は,まず低大気圧下の個葉光合成に対する理論的検討を行うため,C_3植物の個葉光合成モデルの作成と解析を行った.モデルには葉内CO_2拡散コンダクタンスやルビスコ活性などを葉形質パラメータとして組み込むことに成功し,それらの葉形質や大気圧などの環境が光合成に及ぼす影響を評価するための理論的枠組みを得ることができた. その結果,高地低大気圧は,Terashima et al.1995によって予測されている,1:CO_2分圧の低下による光合成の減少 2:O_2分圧低下が1の効果を一部うち消す という2つの効果をもつのみならず,3:葉内拡散コンダクタンスとルビスコ活性が光合成に与える影響を大きくする という効果をも持つため,低大気圧下での光合成抑制がより増大させられているという理論的予測を得た.この予測を確認するため,高地(標高2250m)及び低地(標高100m)のイタドリの実際の光合成能力とそのO_2依存性を比較し,理論予測の妥当性を検証した. 次に,高地低大気圧環境に対する植物の順化・適応状況を明らかにするため,生育標高による葉の酵素化学的性質の違いを評価する手法の開発を行った.これまでに報告されている葉中の蛋白量及びルビスコ活性測定のための手法を改良した結果,高地と低地に生育するイタドリの蛋白量,ルビスコ活性を再現性よく測定できる手法が確立され,葉の酵素化学的形質を比較する予備的測定を行うことができた.また,生育地から採取したイタドリを管理環境下で生育させるための人工気象器とCO_2濃度制御装置(いずれも本年度備品)の調整及び試運転を行い,高地と低地に生育するイタドリの順化能力を評価するための実験の準備を行った.
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