1999 Fiscal Year Annual Research Report
ランソウの熱ショックタンパク質(Hsp)遺伝子の発現調節機構の解明
Project/Area Number |
11640641
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仲本 準 埼玉大学, 理学部, 助教授 (30192678)
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Keywords | ランソウ / 熱ショックタンパク質 / 光合成 / 転写後調節 / 低分子量HSP |
Research Abstract |
(1)新規な熱ショック遺伝子 orf7.5(申請書のorf74の名称をこのように変更した)破壊株の構築:遺伝子翻訳領域、翻訳領域直下流、遺伝子上流及び下流の各部位に抗生物質耐性遺伝子を挿入した変異株を構築した。翻訳領域と翻訳領域直下流に変異を生じた形質転換体の生育のみが高温において著しく阻害された。これらの結果は、orf7.5がランソウの高温耐性に重要な機能を果たしていることを示唆するものである。(2)orf7.5の他のHsp遺伝子発現調節への関与:orf7.5遺伝子の破壊により、熱ショックによるhtpGやgroESL転写産物の蓄積量が影響された。一方、DnaKタンパクの蓄積量は野性株と同様であった。 (3)ランソウHsp遺伝子の転写後の調節:Synechococcus vulcanusのSmall Hsp遺伝子を大腸菌に導入すると、Small Hsp遺伝子は平常時(30℃)でも42℃と同様に転写されるが、Small Hspタンパクは、30℃ではほとんど蓄積しなかった。温度上昇によるリボソーム結合領域のmRNAの二次構造の変化により翻訳効率が上昇するのではないかと考えて研究を進めている。さらに、種々のSmall Hsp-LacZ融合タンパク質を構築し大腸菌における熱ショック応答を解析したところ、Small Hsp遺伝子のコード領域が転写あるいは転写後の調節に関与することを示唆する結果を得た。(4)ランソウSmall Hspの光化学系2や集光機能の熱耐性における役割:大腸菌とのシャトルベクターを用いて、S.VulcanusのSmall Hsp遺伝子を、常温性で形質転換型のランソウであるSynechococcus sp.PCC7942株に導入し、Small Hspを恒常的に大量発現する株を構築した。このランソウの致死温度(50℃)における生存率、光化学系2(活性)やフィコシアニンの熱安定性が増加した。
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Research Products
(1 results)