1999 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類胚消化管内胚葉はアクチビンにより胚盤葉上層から誘導されるか
Project/Area Number |
11640667
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松下 晋 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50165809)
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Keywords | ニワトリ胚 / 胚盤葉 / アクチビン / 三胚葉形成 / 二次軸誘導 / 消化管内胚葉 / 生体染色 |
Research Abstract |
鳥類胚では、原条の形成位置は胚盤葉下層後部あるいは胚盤葉上層後縁部の影響により決まる。これらの領域からはVg1産物などの内在性因子が放出され近傍の胚盤葉上層細胞に作用することにより、中胚葉の形成を伴う原条の形成が起こると考えられるが。消化管内胚葉もまた形成されるのかについては不明である。そこで本研究では、胚盤葉期鶏胚を用い、内在性因子の作用を模倣すると思われるアクチビンにより本来と異なる位置に実験的に2次胚の形成を誘導し、消化管内胚葉の形成が起こるか検討した。アクチビン処理による2次胚と胚内内胚葉の形成:胚盤葉期鶏胚の前半部(本来消化管内胚葉には寄与しない)を後半より切り離し、その明域前縁部にアクチビンA(500μg/ml)で処理したAG1-X2ビーズを移植し1日間培養したところ、高率でHNF3β陽性のヘンゼン結節を持つ異所性の原条がビーズの近傍より形成された(対照のBSA処理ビーズの場合にはビーズの近傍よりの異所性原条の形成はわずかしか見られなかった)。この時、胚断片各部の上層細胞をDiI等の蛍光色素で標識しておくことによりビーズに近い領域で2次胚の胚内内胚葉に寄与することが示された。2次胚胚内内胚葉の消化管内胚葉への分化:2次胚の原条を含む範囲を切り出し鶏3日胚体腔内に移植して長期間培養し、2次胚が本当に胚体/消化管内胚葉を形成するか検討したところ、神経などの外胚葉組織や軟骨などの中胚葉組織の他、食道・胃(ペプシノゲン陽性)・腸(シュクラーゼ陽性)などの消化管上皮が分化した。以上より、本来消化管内胚葉には寄与しない胚盤葉上層前部の細胞はアクチビンの作用により消化管内胚葉になり得ることが示された。
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