2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640668
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大隅 正子 日本女子大学, 理学部・物質生物科学科, 教授 (60060646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 堯子 日本女子大学, 理学部・物質生物科学科, 教授 (80060680)
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Keywords | Schizosaccharomyces pombe / 細胞壁 / グルカン / 免疫電子顕微鏡法 / 加圧凍結固定法 |
Research Abstract |
真核微生物である分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの細胞壁形成機構について分子解剖学的な研究を行い、以下の成果を得た。 1)昨年度S.pombe細胞壁から精製し、NMRで解析したα-1,3-グルカンおよびβ-1,6-グルカンに対する抗体の作製に成功した。抗α-1,3-グルカン抗体は高次構造を形成していない抗原に対して、高い反応性を示した。一方、β-1,6-グルカン抗体は、高頻度にβ-1,3-分岐したβ-1,6-グルカンを特異的に認識することが判明した。 2)S.pombe細胞の免疫電子顕微鏡試料作製法として、加圧凍結置換固定法を検討し、最適な凍結固定法および置換剤の濃度を決定した。0.01%オスミウム酸/アセトンおよび0.1%酢酸ウラニウム/アセトンで置換した試料は、細胞内微細構造が明瞭に観察でき、且つ抗原抗体反応が可能であることが確認された。 3)1)で作製された抗体の反応性の検討を、2)の加圧凍結固定法により作製した試料を用いて行った。その結果、α-1,3-グルカンは、細胞壁の最外層と細胞膜に接した部位に認められた。一方、高分岐β-1,6-グルカンは、細胞膜に対して垂直方向に配列し、細胞壁を貫通するように局在した。また、隔壁形成部位においては、α-1,3-グルカンは細胞膜の陥入が始まる隔壁形成の初期段階から終了まで、細胞膜に沿って存在した。高分岐β-1,6-グルカンは隔壁形成の初期にはあまり認められなかったが、二次隔壁が形成される段階では細胞壁を貫通して局在した。さらに、細胞内における局在の観察結果から、低分子のα-1,3-グルカンが細胞内の分泌経路を経て、細胞膜上の合成酵素へ輸送された後、高分子のα-1,3-グルカンに合成される可能性が示唆された。また、高分岐β-1,6-グルカンは、ゴルジ体には局在しなかったが、細胞質に存在が認められたことから、分泌経路を経てゴルジ体を通過した後に側鎖が付加されて構築されると推察された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Konomi,M.,Osumi,M. et al: "Abnormal formation of the glucan network from regenerating protoplasts in Schizosaccharomvcec pombe cps8 actin point mutant."J.Electron Microsc.. 49. 569-578 (2000)
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[Publications] Humbel,B.,Osumi,M. et al: "In situ localisation of β-glucans in the cell wall of Schizosaccharomyces pombe."Yeast. 18. 433-444 (2000)
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[Publications] Konomi,M.,Osumi,M. et al: "Immunoelectron microscopy of fission yeast using high pressure freezing."Plant Molphology. (in press).
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[Publications] 大隅正子: "走査電子顕微鏡"共立出版株式会社. 447 (2000)