2000 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系による生殖制御とその性分化におけるセロトニンニューロンの役割
Project/Area Number |
11640669
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10053357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 高広 日本学術振興会, 特別研究員
塚原 伸治 早稲田大学, 人間総合研究センター, 助手 (90318824)
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Keywords | 視床下部腹内側核 / セロトニン神経 / 大脳辺縁系 / マウント行動 / ロードーシス / 排卵 / プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
雌ラットは卵巣を除去されてアンドロゲンを投与されても雄型性行動の発現は弱い。それは雌ラットの脳に抑制機構が発達しているためと考え、今年度は視床下部に焦点をあて、セロトニン神経細胞があるとされる視床下部背内側核やセロトニン神経細胞を含まない視床下部腹内側核を高周波破壊、または細胞体のみを破壊するイボテン酸を注入して影響を見た。その結果、背内側核を破壊しても影響がなかったが、腹内側核を破壊した雌ラットでは雄型性行動の一つであるマウント数が上昇した。この結果は、雌における雄型性行動制御に、視床下部のセロトニン神経は関与しないが、むしろ腹内側核が抑制的に働いていることを示すものである。 雌の性行動制御において、セロトニン神経とペプチド神経の関係を調べる第一歩として、エストロゲンを投与した卵巣除去ラットに、プロリンを含むペプチド神経伝達物質の分解を促進する酵素であるprolylendopeptidaseの阻害剤(Z-321、ゼリア薬品)を経口投与することで影響を見た。その結果、投与後、雌型性行動であるロードーシスの低下が見られ、プロリンを含むペプチド性神経伝達物質が、セロトニンと同様に雌性行動に抑制的に働いていることが判明した。 雌ラットの排卵機能に関しては、視床下部外の影響を調べるため、排卵前のいろいろな時期に、視床下部への入力を前交連の前域でハラースナイフをもちいて切断した。その結果、排卵前日の午前中以前に切断すると排卵が抑制され、それは4-5日前でも効果があることが示された。しかし、切断して20日以上たつと正常の排卵が見られるようになることもわかった。
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[Publications] Matsumoto,T.and Yamanouchi,K.: "Accecelation of mounting behaviors in female rats by ibotenic acid lesions in the ventromedial hypothaiamic nucleus."Neurosci.Lett.. 291・3. 143-146 (2000)
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[Publications] Watanabe,M.and Yamanouchi,K.: "Suppression of spontanous ovulation by interruption of dorsal input of hypothalmus at various timings during rat estrous cycle"J.Reprod.Develop.. 46・1. 39-45 (2000)
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[Publications] Oosuka,I.,Tanaka,Y.,Miura,N.and Yamanouchi,K.: "Decrease of sexual receptivity by prolylendopeptidase inhibitor in female rats."Jpn.J.Pharmacol.. 83・1. 82-85 (2000)
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[Publications] Satou,M.and Yamanouchi,K.: "Lordosis-inhibiting effect of progesterone in male and female rats with septal lesions"Brain Res.Bull.. 53・3. 331-334 (2000)
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[Publications] 山内兄人,塚原伸治: "性行動神経制御におけるエストロゲンの作用と性分化"自律神経. 37・2. 221-228 (2000)
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[Publications] 山内兄人: "脳の性機能と性差"21世紀フォーラム. 72. 50-59 (2000)