1999 Fiscal Year Annual Research Report
棘皮動物の神経系-とくにキャッチ結合組織を支配するペプチド性神経の研究
Project/Area Number |
11640676
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80092352)
|
Keywords | 棘皮動物 / 神経系 / キャッチ結合組織 / 神経ペプチド |
Research Abstract |
1,ナマコより単離したペプチドNGIWYamideの抗体を作成し、ナマコを染色したところ、以下の神経が染まった。放射神経のhyponeuralとectoneuralの部分、環状神経、触手神経、腸の神経そう。NGIWYamideは神経ペプチドであると結論できる。NGIWYamide抗体陽性の染色は、体壁の真皮内にも見られた。 2,NGIWYamide抗体陽性反応の見られた部分(体壁真皮、触手と腸管)を用いて、NGIWYamideの効果を調べた。NGIWYamideは真皮を硬くする効果をもった。触手では収縮を起こし、腸管では自発性収縮を抑制した。NGIWYamide作動性神経は、ナマコの運動神経として広く分布し、広範な働きをしていると考えられる。 3,ウミユリの巻枝は、硬さを変化させるキャッチ結合組織であるとともに、結合組織性の収縮も示す。硬さの減少がアセチルコリン(10^<-9>-10^<-4>M)で起こることを見出した。ニコチン様のアゴニストは、アセチルコリンと同様な減少を引き起こしたが、ムスカリン様のアゴニストは、高い濃度(10^<-5>M以上)では組織の軟化のみを起こし、薄い濃度(10^<-7>M)では収縮を引き起こした。10^<-6>Mでは、軟化の後に収縮がみられた。 4,巻枝の神経系を光学顕微鏡と電子顕微鏡により観察した。巻枝の中心を貫いて走っている体腔の壁は、神経で包まれており、その外側を別の神経が包み、さらにその外側をBSO細胞(bullet-shaped organelleをもつ細胞)が包んでいた。これら中心にある神経とBSO細胞から、骨片中にあまねく、細胞の網目状のネットワークが広がっていた。靭帯中には、主にjuxtaligamental cellの突起が分布し、少数のBSO細胞も見られた。
|
-
[Publications] Mashide Inoue: "Localization of the neuropeptide NGIWY amide in the pholothurian nervous system and its effects on muscular contraction"Proc. R. Soc. Lond. B. 266. 993-1000 (1999)
-
[Publications] Rudiger Birenheide: "Cirri of the stalked crinoid Metacrinus rotundus : neural elements and the effect of cholinergic agonists on mechanical properties"Proc. R. Soc. Lond. B. 267. 7-16 (2000)
-
[Publications] Rudiger Birenheide: "Influence of K^+ions and neurotransmitters on stiffness and contraction of crinoid arm ligament"Echinoderm Research 2000. 53-54