鳥類における囀り学習メカニズムのアンチセンスDNA法を用いた解析

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11640677
• Research Institution: Shizuoka University
• Principal Investigator: 竹内 浩昭 静岡大学, 理学部, 助教授 (90216854)
• Keywords: 学習 / 囀り / 鳥 / ジュウシマツ / zenk / immediate early gene / アンチセンスDNA / 脳

Research Abstract

(1)アンチセンスDNA法適用の準備:アンチセンスODNの設計と投与法の再検討
まず、前年度までに決定したジュウシマツzenk塩基配列を基にアンチセンスDNA標的部位に基づいて18mer〜20merのアンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンスODN)を数種類設計し、アンチセンスphosphorothionate-ODN(S-ODN)、FITC標識アンチセンスS-ODN、対照のセンスS-ODNとスクランブルS-ODNを入手した。次に、FITC標識したアンチセンスS-ODNをジュウシマツ脳内に微量注入して一定時間後に脳の固定・組織学切片の観察により、ニューロンに取り込まれたS-ODNの経時変化を調べたところ、S-ODNがニューロンへの取り込まれ、数日間細胞内に留まることがは確認された。さらに、HVJ-リポソーム法を用いて同様の実験を行ったところ、カチオンタイプタイプHVJ-リポソームに封入したアンチセンスS-ODNはアニオンタイプHVJ-リポソームに封入した場合よりも広い範囲のニューロンに取り込まれ、ZENK陽性細胞数がより少なくなる傾向がみられた。
(2)アンチセンスDNA法による機能解析:囀り受容時と囀り発声時に発現するzenk
ジュウシマツ成鳥の頭部に取り付ける慢性カニューレの選定と装着法、定量化すべき行動応答の選択、防音箱内での実験方法の検討を行い、注入用ペリスタポンプよりもディスポ浸透圧ポンプを用いる方が有効であることが示唆された。ジュウシマツ成鳥の頭部に慢性カニューレを装着し、大脳N CM領域へアンチセンスS-ODNを注入した後に同種♂の囀りを繰り返しプレイバックする行動実験を試みたが、ZENK発現抑制の行動に与える影響については明確な定量的データが得られなかった。