1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御系遺伝子に基づくウグイ属魚類の種分化に関する研究
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11640690
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
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Keywords | MHC遺伝子 / ウグイ属魚類 / 種分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体防御という進化的に重要な機能を持ち、著しく多様なMHC遺伝子を新しい指標として、コイ科ウグイ属魚類の種分化の実態を総合的に考察し、進化の研究におけるMHC遺伝子の有効性を実証することにある。 平成11年度は山形県酒田市の酒田港で採集した降海型ウグイを材料として、MHCクラスI遺伝子のPCR増幅法、PCR断片のクローニング法、各クローンの多型分析法を検討した。遺伝子データベースに登録されているコイ科ゼブラフィッシュや他の脊椎動物のMHCクラスI遺伝子の配列を参考にミックスプライマーを多数作成し、精製したウグイDNAとともにPCR反応を行い、各プライマーの好適な増幅条件を検討した。様々なプライマーの組み合わせのうち、クラスI遺伝子α3ドメイン部位を増幅するためのプライマーによって約350bpのDNA断片を増幅できた。この断片の塩基配列を決定し、ゼブラフィッシュ等とともに比較した結果、確かにα3ドメインと類似性が高く、ウグイのMHCクラスI遺伝子α3ドメイン配列と同定された。しかし同時に、判読不能配列が所々に存在し、多型的な重複遺伝子を検出していたことが判明した。そこで、重複遺伝子の各ハプロタイプを検出するために、pBluescriptをベクターとするクローニング系を検討し、確立した。得られた各クローンを用いて、SSCP(Single-strand conformation polymorphism)法とCFLP(Cleavase fragment length polymorphism)法によって予備的な多型解析を行った結果、SSCP法では再現性のあるバンドパターンが観察され、各個体由来の各クローン間で多様な変異が観察された。今後はウグイ属の種間、各種の地方集団間、ウグイの同一水系内の降海型と河川残留型間で同遺伝子の塩基配列を比較解析する予定である。
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