2001 Fiscal Year Annual Research Report
原始的貝形虫類プラチコーパの形態、生態、生物地理および系統分類学的考察
Project/Area Number |
11640693
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 助教授 (90212050)
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Keywords | 貝形虫 / Ostracoda / 生きている化石 / 甲殻類 / ベントス |
Research Abstract |
これまでの調査により生体標本を多く入手することができたKeijcyoidea sp.について,さらに詳しい比較解剖を行った.これまで,体後部を観察する際,透過型光学顕微鏡では,キチン質部のフレームワークの観察によってその形態的理解を進めてきた.これに対し,体後部外骨格内部に発達する筋肉を染色して内部構造の情報を得るとともに,SEMを併用することによって,以下の点が明らかにされた.1)これまで,背側に開口するといわれていた肛門は,腹側に開口する.2)肛門筋のさらに後部にユニットを持ち,これはTelsonとみなすことができる.3)Telsonからは,一対の枝状肢が発達するが,これはPodocopinaのcaudal ramiとは相同ではなく,furcaである.4)上記のことは,発生からも支持される.すなわちPodocopinaのcaudal ramiは,発生の最終段階で退化的に単純化するが,この分類群のfurcaは,発生の最終段階で最も発達する.5)雌雄の交尾器は,ともに第4胴節から派生する. また,本年度は総括として静岡大学で開催された14th International Symposium on Ostracoda(Shizuoka)と第37回日本動物分類学会大会(札幌)において,本研究の成果を発表した.
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