2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 正文 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40101240)
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Keywords | 有尾類 / 遺伝的多様性 / 保全保護 / レッドリスト / ハクバサンショウウオ / ヤマサンショウウオ / カスミサンショウウオ / オオダイガハラサンショウウオ |
Research Abstract |
(1)オオダイガハラの本州産個体群が、四国・九州産のオオダイガハラおよび南九州産と、別種として考えるのに十分な遺伝距離をもって分かれ、九州産のオオダイガハラおよび南九州産の種が遺伝的には同種と見なせるという内容の論文原稿が受理され、印刷中である。(2)ブチの本州紀伊半島産産個体群が、本州中国地方西部・四国・九州産の個体群と、遺伝的に大きく異なること、九州産の内部に2型があり、1つは本州中国地方西部産と、もう一つは四国産と近いという新知見が得られた(投稿準備中)。(3)愛知県産トウキョウが、横須賀産トウキョウとは遺伝的に異なり、中部産カスミと区別できないことから、これをカスミとして扱うべきという結論を得た(投稿中)。(3)富山・岐阜産ヤマが、長野産ハクバとは遺伝的にも形態的にも区別できないことから、これをハクバとして扱うべきという結論を得た(投稿中)。(4)本州・四国・九州という分布域全域からのカスミについて、調査を終わり、この種が、九州+山口とそれ以外の2群に分かれ、中国山地産の個体群は後者の中で1群を成すという結果が得られた。現在膨大なデータの解析結果を確認し、投稿準備中である。(4)ベッコウは顕著な形態的特徴にかかわらず、九州産オオダイガハラと遺伝的に極めて近く、これらが1群を成してオオダイガハラの本州・四国産個体群と分かれるという驚くべき結果が得られた。現在、追加試料について確認実験中である。今回扱った小型サンショウウオの一部では、現在2種とされているものが分類学的に1種として統合される可能性が示唆され、逆に他では現在1種とされている個体群が、分類学的に細分される可能性を強く示唆する結果が得られた。今回の結果は現在、環境庁のレッドリストに掲載されている種・個体群についての見直しを促すものである。同時に、今回の結果は、今後さらに多くの種について全個体群の遺伝的多様性を見直す必要のあることをも強く示唆している。
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Research Products
(1 results)