1999 Fiscal Year Annual Research Report
地衣分類形質としての二次代謝産物の簡易同定と日本産地衣類の化学分類
Project/Area Number |
11640702
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Research Institution | Kochi Gakuen College |
Principal Investigator |
吉村 庸 高知学園短期大学, その他部局等, 教授 (20072811)
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Keywords | 地衣類 / 化学分類 / 二次代謝産物 / ハナゴケ属 / クロロアトラノリン / HPLC |
Research Abstract |
設備備品費で高速クロマトグラフィー(HPLC)の紫外可視分光光度計を更新し,コンピュータ制御が出来るようになった.研究は(1)フォトダイオード・アレイによるピークのUVスペクトル分析方法の開発と(2)日本産地衣類についての成分検出と同定に大別できる.(1)の分析方法の開発はHPLCにおける約150種のデプシド,デプシドーンの分析法を完成させた.高級脂肪酸については,とくに地衣体からの疎抽出で他の成分と共雑する場合の分析法を継続研究中である.現在はTLCによる同定に頼る.(2)日本産の地衣類については,ハナゴケ類を研究し,ハナゴケ属(Cladina)7種1亜種についての分析を終えた.デプシド・デプシドーン類ではfumarprotocetraric acid, protocetraric acid, psoromic acid, perlatoric acid, atranorinウスニン酸類ではusnic acid, isousnic acid,脂肪酸ではrangiformic acidトリテルペン類ではfriedelinを同定確認した.ハナゴケ属(Cladina)ではatranorinはウメノキゴケ類と違いchloroatranorinを伴っていないこと.usnic acidはisousnic acidを伴うものが多い.一方,近縁属のホグロハナゴケCladonia amaurocraea (Sect.Unciales)ではisousnic acidを伴っていない.トゲシバリ(Cladia aggregata)はbarbatic acidを主成分とし,日本産はオセアニア産に比し極めて微量であるが,同様に多種類の成分を含んでいる.Cladina stellarisのpsorome acidは量的に変化するので日本産のものを特に欧米産と区別しタクソンを分ける必要はない.
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