1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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Keywords | 液晶マイクロエマルジョン / 長距離相互作用 / 階層構造 / 可視分光 / 動的光散乱 / 外場効果 / 透明ネマチック相 |
Research Abstract |
複雑系の頂点にある生体組織ですら、実は天文学的な数の分子の集合体、すなわち超分子の階層構造体であり、あたかも意志を持つがごとく振舞うこれら多数の分子の協同運動は、単純な物理法則に基づいて決定されていることは、疑う余地はない。本研究では、まず生体に由来するリオトロピック液晶と、液晶ディスプレイ等で知られるサーモトロピック液晶の混合系を作成し、互いに内部構造を有する2つの異なる複雑流体を混合することによる、新たな対照性を持つ相の発現と、内部構造間の競合による新しいタイプの超分子間相互作用について研究することを目的とする。 本年度は、まず本研究の基本となる2つの測定システムを完成させた。複雑流体混合系の内部構造を構造学的に探求するための2次元リアルタイム可視光分光装置と、多次元動的光錯乱システムである。完成した測定装置により、様々なタイプのLLC-TLC混合系にアプローチを行った。実験結果から(1)LLC濃度の低い領域を重点的に、2次元リアルタイム分光装置を用いて、いくつかの混合系における内部構造の測定を行った。これまどの申請者の研究により発見されたTN相のように、全ての混合相が秩序を維持しているわけではないので、電場・流動場等、系の対称性を破る外場を加える事により、巨視的に同一の対称性を持つ相の存在に注意して研究をおこなった。この結果、いくつかの系で弾性的な液晶相内の相分離領域において、特異な形の相分離モルフォロジーが現れることを発見した。(2)一方、もう1つの測定系である、多次元動的光散乱システムにより、欠陥を内包する液晶相の流体力学的振る舞いについて測定を行った。特に広いk-ω空間での定量的な測定と、観測された流体力学モードの正確なマッピングを心がけた。この結果、2つの秩序の競合によって形作られる超構造の内部ダイナミクスが、如何なる因子で決定されるかについて、基礎的な知見を得た。
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[Publications] E. M. Trentjev: "Electromechanical Fredericks Effects in Nematic Gels"Physical Review E. 60. 1872-1879 (1999)
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[Publications] Jun Yamamoto: "Dynamic Coupling between Fluctuation Modes in the Mixture of Two Complex Fluids systems"Proceedings of the 2^<nd> Tohwa University International Meeting : Statistical Physics. 50-50 (1999)